新型CR-Zはホンダハイブリッド初のリチウムイオン電池搭載【ホンダCR-Z特集】

マイナーチェンジした新型CR-Z最大のトピックは、ホンダハイブリッド車として国内初のリチウムイオン電池を採用したことです。

電気自動車などで採用例の多いリチウムイオン電池の特徴は充電密度の高さ。同じ重量の充電式電池で比較すると、CR-Zの場合は前期型のニッケル水素電池に比べてリチウムイオン電池は44%も充電容量が増加します。電圧も100Vから144Vと向上し、システム全体を飛躍的に性能向上させることに成功しているのです。

このリチウムイオン電池、前期型のニッケル水素と同じ重量となっていますが、その体積は3%ほど小型化されています。それをリアのラゲッジ下に積んでいます。

PCU(パワーコントロールユニット)もリチウムイオン電池のすぐ上に配置。一次電流の流れるケーブル長を短くまとめることで送電ロスを抑える効果もあると考えます。

そして、リチウムイオン電池の採用によりハイブリッドシステムのモーターも新型となりました。電圧、容量に余裕を持たせた結果、モーターの出力も向上させることが出来、その最高出力は前期型の10kW(14PS)/1500rpmから15kW(20PS)/2000rpmに向上。

リチウムイオン電池の特性として起動電量の立ち上がりがよいことが上げられます。そこに出力を向上させたモーターを組み合わせたことにより動力性能に余裕が生まれ、巷では「ハイブリッドのBダッシュ」と評価されるPLUS SPORTSボタンが可能となったのです。

PLUS SPORTSボタンに限らず、ハイブリッドにおいて電池容量が増えたことは精神的な余裕となります。長い上り坂でも電池が切れにくいということで、いきなりクルマがもたつくといったことが起こり難くなるのです。モーター駆動をなるべく長く使えるということは燃費と直結してくることなので、こういった改良は非常に重要です。

車体価格がほぼ一律10万円ほど上昇した今回のマイナーチェンジですが、このリチウムイオン電池の採用を考えるとむしろ値下げなのではないか、と筆者は考えるに至ります。

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
続きを見る
閉じる