EV(電気自動車)の普及に伴い、充電設備の設置が各地で進んでいるものの、ガソリンスタンドと比較するとまだまだ設置個所は少なく、EVは走行中の電欠といったトラブルも心配されていますが、高速道路や充電設備が近くに無い場合、電欠したクルマの救援に向かえる車両として注目されているのが、移動急速充電車です。
一見ウィングボディのトラックに充電器を載せただけに見えるこのクルマ、実はEVを充電する為の様々な工夫がされています。
まずは急速充電器に電源を供給するバッテリーですが、リチウムイオン電池を荷台床下に6個直列に搭載する事で、急速充電器から日産リーフ約2台分をフル充電する事が可能だそうです。
また、搭載されたバッテリーに充電を行うのは、クルマに搭載されているオルタネーターだけでなく、さらに別体で搭載されているエンジン直結式の発電機により、走行中に充電する事が可能であり、救援などに向かう際に移動しながらバッテリーに充電する事が可能だそうです。
もちろん、走行中の充電で不足する場合にはPTO(パワーテイクオフ)駆動を用いる事により停車中でも発電が可能で、あらゆる状況に対処できると言えそうです。
こちらの移動急速充電車はベースに冷凍車を使う事により、本来冷凍設備を収めるスペースに発電設備を搭載する事で、通常のトラックでは設置できなかった発電機を搭載する事を可能としています。
展示車両はEVレースに使われるサービスカーとして、タイヤチェンジャーやバランサーが搭載されていますが、ロードサービスカーとして使う事も可能であり、その際は広い荷室に救援の為のツールや作業スペースを確保する事が出来ます。
また、大容量のバッテリーを搭載する事で、EVへの充電だけでなく、非常用電源車としての使用も可能で災害時にも威力を発揮しそうです。
EV時代の到来で、ロードサービス、EVレース、災害時の救援車と様々なシーンで活躍できそうな移動急速充電車は欠かせない存在となりそうですね。
(井元 貴幸)