【試乗レポート】大混雑の東北自動車道でもシボレー ソニックなら安心

7月27日の午前中、全日本ラリー モントレー in 渋川の取材の前に気持ちよく榛名山を駆け巡ったシボレーソニック。

その午後からラリーの取材を開始。翌日のDAY1が取材のメインとなりますが、その様子はclicccarの各記事をご参照いただきたいと思います。

DAY1の取材を終え、某カーライフスタイル誌の副編集長を高崎駅まで送るのですが、空がだんだん怪しくなってきます。高崎駅まで行こうとすると、駅手前の交差点から駅に向かって冠水しているではありませんか。クラウンコンフォートのホイールが半分くらい水に浸かっています。

このような土砂降り、前方視界が数メートルしかないような状態でもソニックのワイパーは優秀。拭取り面積がほぼウインドウ全体という巨大さ。オーソドックスな2アームなのに運転席から見れば拭きもらしなし!

雨は高崎周辺の集中豪雨だったようで、関越自動車道から北関東道へ分岐する頃にはすっかり止み。星空さえ見えてきました。

北関東道は比較的新しい高速道路ですから路面がとてもよくソニックは何の問題もなしに駆け抜けていきます。そして宇都宮の手前で東北自動車道と合流、筆者は那須高原SAまで一気に走りきります。

 

快適な高速道路も、この那須高原SAを境に豹変します。この先の路面のひどさは、とても通行料を取って走らせる高速道路とは思えない。特に下り方面。

皆さんの想像通り、東北自動車道は昨年の震災でかなり傷んでいます。亀裂や窪みの修復だけして復興用の道路として再開したのですが、今年の現段階に至るまでその修復のまま運用しているのです。基本的に昨年の11月以降、2012年7月末現在まで全く改善されていません。

制限速度の100km/hで走ってもじゃんピングスポットはあるし、サスペンションがフルバンプする段差はあるしでとても安全な高速道路とはいえません。首都高速の目地段差なんか比較にならないくらいのデコボコぶり。特に白河から郡山と二本松から国見にかけては本当にひどい。 

原発事故に隠れてこういった交通インフラの整備を怠っている政府の怠慢に憤慨する一方で、この道をちゃんと走りきれるかどうかでクルマのボディーの強さやサスペンションの出来を計ることも出来ます。

那須高原からスポーツランド菅生のある村田ICのひとつ手前、白石ICまで一気に走りきってみて、結論から先に言うとメルセデスのW210、E240より乗り心地がいいという驚きの結果。まぁ、あちらは登録から10年経っているので、色々とヤレているとは思いますけど。

この区間、昨年の震災以来、取材やらボランティアやらで様々なクルマに乗って駆け巡ってきましたが、SUV以外でまともな乗り心地のクルマは皆無でした。その中で特に印象がよかったのは日産Jukeの15RX。セダンやコンパクトでは先ほどのメルセデスW210のE240。段差を乗り越えても直進性をキープできるセダンは、筆者が乗った限りメルセデス以外ありませんでした。自分の所有車である2001年式VWポロGTIに至っては段差のたびにジャンプとフルバンプを繰り返す有り様。那須高原SAから白石まで一気に走るなど、疲労が蓄積してとても無理。必ず安達太良SAで休憩を入れてしまいます。

これがシボレーソニックだと段差を乗り越えても全部サスが吸収してくれる。左右で異なる段差を踏んでもボディーは水平を保っているし、ハンドルを取られることも無い。それこそSUVの日産Juke並みにフロントサスペンションのストロークが長いのではないか、と思ってしまう。実際はそんなに長くないのですが、多分ショックアブソーバーの瞬時入力対する処理が優秀なのではないかと推察します。やっぱりテネコ製のショックアブソーバーが入っているのかなぁ?

その足回りを受け止めるボディーが、これまたガッチリしているので変なキシミ音が皆無。キシみにくいということは、ボディーが歪みにくいということで、直進性も確保されるということでもあります。だから他のコンパクトではハンドルを取られそうな路面の荒れでもまっすぐ走る。この辺は実にドイツ車っぽい。やっぱりGMの中でもオペルの技術が活きているのでしょうね。

ちょっと気になる部分もあります。追い越し加速などでシフトダウンすると、エンジン回転が6000回転以上に回りたがらない。6000回転を境に回転上昇が極端に遅くなります。最高出力が6000回転で発生するので必要十分といえばそれまでなんですが、このあたりは峠で感じた印象とかなり違ってきます。

その代わり、このエンジンはレギュラー仕様なのでオサイフにかなりやさしい、という面もあります。

燃費がどうの、とよく言われるのでここまでの燃費を発表します。都心、関越道、榛名山のワインディング、渋川市内、高崎市内、北関東道、東北自動車道を走って白石ICから宮城蔵王のホテル、そこからスポーツランド菅生、村田ICのガソリンスタンドで給油。結構真剣にガス欠寸前だったのですが、給油量46リットル(あれ?タンクぴったり?)、走行距離667kmで14.5km/L!

余裕で10・15モードのカタログ値を越えてます。エアコンをブン回しですよ、これ。

次回は総括編です。

■シボレー ソニック(ゼネラルモーターズ・ジャパン)
http://www.chevrolet.co.jp/sonic/ 

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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