6MT仕様トヨタ86のレンタカーによる試乗記その1「エコ走行編」に続いて、今回は「スポーティ走行編」です。
実は本命に考えていた「東名高速&伊豆箱根コース」は、日曜の混雑とレンタル時間を考慮して断念。今回は直線が長い東関東自動車道を経由して、短いながらもツイスティな山坂道がある千葉房総へ向かいました。
トヨタ86の東関道での高速巡航は、追い越し加速もハンドリングも鋭く滑らか。スピードが増すにつれて乗り心地がフラットになって安定する感じです。ドイツ車の高速安定性に似ているものの、標準のナローシルエットと軽量ボディのせいか、さすがにドイツ車ばりの「重厚感」は感じられませんでした。
続いて、房総の山坂道です。ゼロ発進からアクセル全開にすると「グクォーン」と勇ましいエンジン音を奏でながら加速していきます。運転席では、後方の排気音というよりも前方のエンジン音が耳に入りました。柿本改・極太マフラー育ちの自分としては、正直ちょっと違和感あり。でもエンジン音そのものを聞かせるスーパーカーをイメージすると、サウンドクリエーターの効用が実感できた次第です。
コーナー手前でヒール&トウ(もどき)をかますと、クルマ全体が路面に吸い付くように沈み込んでいくのがわかります。結構な速度でタイトコーナーに飛び込むと、トヨタ86は低い姿勢のまま自分を軸にしてコーナーを旋回するように駆け抜けていきました。
驚いたのは「思い通りに動く」というよりも、「行きたい所に目を向けると、クルマが正確に飛び込んで行く!」ような感覚なのですね。しかもアクセルを踏もうがブレーキを踏もうがハンドルを切ろうが、前後左右のどの方向にもクルマの姿勢が乱れません。 「急カーブ・急坂の標識」がある難所ほど、クルマが躍動するものだから、もう山坂道が楽しくて仕方がありませんでした。
またGグレードが履く16インチのタイヤには、高級車に選ばれるヨコハマdbが装着されていました。このタイヤはグリップ限界が近づくと、「シュシュシュシュ」と優しい音を立てて教えてくれます。 もう少しで滑り出すとか、これ以上は自分の運転能力を超えるといったレベル感が、よくわかるのですね。
トヨタは「峠カルチャー」と称して、トヨタ86で峠を走ることを提唱していますが、「ちゃんとこういう制御を仕込んでいるんだなぁ〜」と大いに納得した次第です。
(拓波幸としひろ)