キャラと乗り味&実用性のいい意味でのギャップが魅力【VW The Beetle】

フォルクスワーゲン(以下VW)に似合う四字熟語といえば、昔から「必要十分」や「質実剛健」など当てはまる気がします。

でも世界中で愛されたビートルに関しては、実用性に加えそのデザインの愛らしさから「才色兼備」も似合ってたと言っていいのではないでしょうか。

そのビートルのデザインをモチーフにした「ニュービートル」は見事に初代ビートルの可愛さを再現し、1998〜2010年と12年もの間発売されたロングセラーとなり、VWのシンボリックなモデルとして愛されてきました。

ただ当時のゴルフなどとプラットフォームを共用して本来RRとしてデザインされた初代ビートルのカタチに近づけるためか、エンジンルームは室内に入り込み気味だったし、荷室スペースもかなり限られたものだったのも事実です。走りはそれなりにVWらしさを持っていましたけどね。

そういった(ここではわかりやすく)「2代目ビートル」のちょっと残念な部分を「3代目ビートル」の「The Beetle」は見事にクリアして来たようです。

ドアを開け乗り込むとそれはすぐにわかります。クルマの前後どの辺の位置に座るかが、正直言って2代目では「?」という違和感があったものの(オーナーになって慣れると問題ないかもしれませんが)、こんどのは通常のポジションだと感じます。

トランクの容量も明らかに大きくなっています。数字で表すと1.5倍にもなっているそうです。

可愛らしいデザインによくそんなに難しい案件を盛り込んだな、と感心します。

それらが可能になった要因のひとつに、「ダウンサイジング」影響もきっとあるのでしょう。

今度のビートルは1.2L+ターボのコンパクトなエンジンを搭載し、このあたりも最近のVWのセオリーに則ってるわけで、ただのカワイイだけのクルマじゃないと言えそうです。

さらに走り出すともっとその気持ちは強くなります。

走りのしっかり感、路面に応じた足まわりの動きやステアリングの正確性など、とても見た目とは違ったカッチリしたものに仕上がっています。高速道路では「ビシッと真っ直ぐ走るってこういうことなんだな」というのを改めて思い知らされます。

2代目では女子がひとりでまたはカップルで乗るのがベストという気がしてました。が、今度は実用性、経済性、走りの楽しさも高められ、ファミリーカーでも十分って気がしました。さしずめ「家庭円満」も似合うクルマになったということでしょうかね。

■価格
The Beetle Design Leather Package 303万円
The Beetle Design 250万円

VW公式サイト:http://www.volkswagen.co.jp/cars/thebeetle/main.html

(小林和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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