以前『トヨタが「NGA」と銘打つ車両設計改革の狙いとは?』で車両設計に関するトヨタの新しい取組みについて触れましたが、トヨタは4月9日に「もっといいクルマづくり」の具現化に向けた総合的な取組み、「TNGA(Toyota New Global Architecture)」を発表しました。
【トヨタ自動車ニュース】
「もっといいクルマづくり」の具現化に向けた取り組みを公表」(※リンク先PDF)
その骨子は以下4項目となっています。
①Toyota New Global Architecture
人間工学やデザインの自由度を追求した新しいプラットフォームを開発し、世界の各地域で共用化することで、高い基本性能を備えたクルマを効率よく開発。
新型プラットフォームは、設計とデザインが協力してクルマの骨格改革に取り組むことで重心を低く構え、踏ん張り感あるスタイリングなど、これまでにないエモーショナルなデザインと優れたハンドリングのクルマの開発を可能とする。②チーフエンジニア(CE)の権限強化
③地域ニーズに沿った「もっといいクルマづくり」をのための体制強化
④デザイン体制の強化
社内で車両デザインを評価・検討する「デザイン審査」への出席者を少人数に絞り込み、車両の開発責任者であるCE が主役となるプロセスを導入。
このTNGAの取組みで注目されるのが、①と④のデザインプロセス見直しの部分。多数役員によるデザイン審査の弊害ともとれる(悪い意味での)「80点主義」デザインからの決別に本気で取り組む意気込みを感じさせます。
そうしたデザイン体制のターニングポイントとなったのが4月6日に発売された「トヨタ86」のようで、開発過程でデザインの方向性が定まらない元凶となっていた大勢の役員による「デザイン審査」を86関係役員だけに絞ったところ、収束が早まったとか。
その成果を今回の改革にとり込んだものと思われます。
新型レクサスGSや、デトロイトモーターショー2012で公開されたダイナミックなデザインのHVスポーツクーペ「レクサス LF-LC」などにも既にデザインプロセス改革の成果が感じられるのではないでしょうか。
無類のクルマ好きで知られる豊田章男社長体制となって確実に変化し始めたトヨタですが、「TNGA」取組みによる今後のデザイン変化にも要注目です。