以前に『クルマ造りが変貌する!? 日産の「CMF」、VWの「MQB」とは?』 でも触れましたが、近年、環境対応や安全対応などで車両開発に要する時間が増大しており、世界の自動車メーカーはそれに伴う開発コストアップ是正に向けて各社ともあの手この手で効率アップに取り組んでいます。
日産自動車は先日「CMF」(コモン・モジュール・ファミリー)と称する新世代の車両設計技術を2013年以降発売する新型車の車両開発に導入すると発表しました。
これはボディ全体を「4つのモジュール」と「電子アーキテクチャー」に分け、それらのモジュールを巧みに組み合わせることで、小型車から大型車、SUVに至るまで効率良く、高度な要求性能レベルに応える設計を可能にしようとするものです。
対するトヨタ自動車が取り組んでいるのが「NGA」(ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と称する設計改革で、次期プリウスなど2014年発売の新型車より反映されるそうです。
トヨタのプラットフォームは乗用車系だけで12種類の基本形があり、一部改良した派生型や商用車系を合わせると約20種類存在。これらをベースに約60種類の車種を作り分けているそうですが、今回の「NGA」設計改革により現存のプラットフォームをボディーサイズ毎に整理して、20種類から7種類にまで削減する計画とのこと。
骨格や足回り部品など、顧客の目に直接ふれない部品についても共通化が図られるようですが、逆に内外装などは世界各地で地域ごとのニーズに合わせた最適設計とする模様。
更には膨大なエンジン種類の整理・統合も含めて、それらの部品をパズルのように組み合わせられるように予め設計、組み合わせを変えることで車種を多様化できるのが特徴とか。
トヨタ自動車はこの設計改革活動により、設計・調達費の削減や品質強化、生産の効率化を図り、4~5年後には多くの車種でコストダウン効果が出ると見込んでいるようです。
VWも同様な活動(MQB)に取り組んでおり、設計共通化により部品メーカーの量産効果を促し、部品の低価格化を実現、超円高下でも価格・品質両面の競争力維持を図るのが世界のカーメーカー各社の緊急課題という訳です。