クルマは鉄でできているとは言わせない!? クルマのプラスチック使用量が急増中

総合マーケティングビジネスの富士経済によると、2016年の自動車向けプラスチック市場は新興国での自動車の生産拡大と車体軽量化のために金属部品をプラスチックに代替することが増え、2011年比で22.3%増の1049.6万トンに拡大するそうです。

また、EV/HV向けプラスチック市場もその販売台数拡大だけでなく、EV/HV特有の部品(モーター、バッテリー、インバーターなど)での用途開拓や電装部品向け耐熱プラスチック(PPSなど)の需要増加により、2011年比で5.8倍の87.8万トンに拡大すると予測しています。

ちなみに、全体市場に占めるEV/HV向けの割合は2011年の1.8%から2016年に8.4%まで拡大するそうですから、実に12台に1台はEV/HVが走っている計算になります。ということは、純然たるガソリンエンジンのスポーツカーは、かなり貴重な存在になってしまうのでしょうか?

トヨタのハイブリッド車「アクア」

そこで注目市場はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)だとしています。CFRPは、炭素繊維とプラスチックを混合した複合材料で、鉄やアルミなどの金属素材よりも低密度ながら強度が高く、軽いという特徴があります。CFRPはエアロパーツにもあるのでみなさんおなじみですね。

このCFRP、最近ではBMW、アウディ、フォルクスワーゲンなど欧州車ばかりでなく、低価格化が進みつつあることから韓国系自動車メーカーが採用に前向きだそうです。2011年見込みでは2010年比243.9%増の2000トンで、2016年にはそれが1万1250トンまで急増すると見込んでいます。

ここまでトントン拍子で進んできましたが、これだけじゃクルマを鉄の塊とは言わせない根拠が分かりませんよね。そこで登場するのが自動車1台あたりのプラスチック平均使用量です。

ホンダ「フリード ハイブリッド」

これらのプラスチックは、汎用樹脂、エンプラ・スーパーエンプラ、その他に分けられるのですが、その使用量が2011年見込みで全体平均で実に144.1kgにも達するのです。2011年時点ですでにクルマの10分の1ほどがプラスチックになっているわけです。

ちなみに、汎用樹脂とはPPやPVCなど4品目で、PPは主に内装部品やバンパー、PVCは主にワイヤーハーネスの被覆材や内装部品の表皮材に用いられます。

エンプラは、PA6、PA66、PC、PBTなど7品目。スーパーエンプラは、PPS、芳香族PAなど6品目で、PBTは、主にハーネスコネクター、ECUケースなどの電装部品や機構部品、PPSは、燃料ポンプ、エンジンルームなどの燃料系部品、電気系統部品などに広く採用されています。

その他には、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂5品目、TPO、TPCなどのエラストマー5品目、炭素繊維強化プラスチック、バイオプラスチックなどが含まれ、エポキシ樹脂は主に基板用積層板や封止材、電着塗料に用いられます。

電気自動車(EV)「日産リーフ」

このように、クルマにはさまざまなプラスチックが使われており、それが2011年には144.1kg、2016年にはさらに拡大するということですから、クルマを鉄の塊とは呼べない時代がそこまで来ているというわけなのです。

(ジム加納)

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