ヨーロッパで開いたスイフト標準車の試乗会で、イギリス人ジャーナリストから「スズキは欧州に開発拠点を作ったはず、でなければ欧州メーカーに開発委託したでしょ?」という質問があったそうです。シャシー・エンジニアである開発責任者の竹内さんは、「スズキでは異例なほど欧州で走り込んだ」と答えたけれど、「それだけにしては、ヨーロッパに適合しすぎでしょ!」となかなか信じて貰えなかったとのこと。
このエピソードを読んで、日本車と欧州車の根本的な「違い」というか「差」を感じました。 そしてその「差」は、竹内さんのコメントであらためて実感することができました。
「日本のテストコースである程度まで仕上げても、欧州の大入力レベルで走ると、どうしても物足りなくなる。」
「欧州だと100㎞/h以上のコーナーでいきなり対向車がはみ出してきて、さらにステアリングを切り込む場面が必ずあります。そんなときにクルマが正確に反応してくれないと、自分たちが怖いですから。それに欧州で走って楽しい面白いと思えないクルマは、自分たちも欲しくない。」
しかもスイフトスポーツは、標準車とほぼ同時並行で開発されたもの。だから、標準車自体、スイスポありきで開発されたそうです。
ちなみに開発企画の久野さんによると、先代スイスポは7割がMTで2割が黄色、しかもほとんどが指名買いというのですから、滅法ハートの熱いオーナー像が伺えます。
「スイフトスポーツに限っていえば、従来型はMT比率が7割、イメージカラーのチャンピオンイエローが全体の2割。購買者の平均年齢は37~38歳。」
「おかげさまで指名買いがほとんど。」
日本で消滅しかけている「テンロク・ホットハッチ」は、ヨーロッパでは群雄割拠の人気ジャンルです。そのいわば本場欧州で太鼓判を押されたスイフトスポーツが、6MTで168万円(消費税込み)で買えるというのですから、掛け値なしにバーゲンプライスだと感じた次第です。