トヨタとアストンマーチンの関係をニュルのピットで育んだ「深イイ話」とは?

振り返れば2009年にスタートした新体制のトヨタに次々と降り掛かる試練。米国のフロアマット問題に始まり、プリウスのブレーキ問題、そして謂れの無いカムリ暴走問題、今年に入ると東日本大震災やそれに伴う節電による生産打撃、そしてその挽回中に発生したタイの浸水被害による再打撃と、息つく暇もない程の苦難続きの船出となった豊田(モリゾウ)社長。

しかし、そんな逆境の中でもほのぼのとした「深イイ話」も有ります。レース好きの一面を持つモリゾウ氏が5年前に「ニュル24時間レース」へ初挑戦した際、偶然、アストンマーチンとピットをシェアした事で両社トップ間の交流が始まります。(画像はモリゾウ氏とベッツCEO)

同じニュルのピットで共に戦う中でいつしか友情が育まれ、10月15日に開催された耐久選手権第9戦ではトヨタとアストンマーチンがタッグを組み、両社トップ自らもドライバーとしてレースに出場することに。 これには世界のメディアが大いに驚いたとか。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=GFiztXoJubw

それもLexus LFAとアストンマーチンV12ザガートの2台を4名のドライバーでシェアするというレースシーンでは類を見ないスタイルでの参戦だったのです。モリゾウ氏はLFAで持ち場の6ラップを無事走りきったそうですが、その途中で目にした物は追突されてコースアウト、無残な姿となった相方のアストンマーチン。モリゾウ氏のBlogによると・・・ 

アストンのメカニック達は「モリゾウに何とか最後の1周だけでも走らせたい!」と言って、時間ギリギリまで諦めずに、必死に修理を続けてくれたそうです。彼等の友情は厚く、誰もが無理と思った修理をやってのけ、レース本戦終了間際でモリゾウ氏が運転するアストンとベッツCEOが運転するLexus LFAのランデブー・フィニッシュが実現したそうです。

画像はレース終了後、感激の余り抱き合う二人の姿・・・ 泣かせます。「昨日の敵は今日の友」とはよく言ったもの。国境を越え、メーカーをも超えた何とも「深イイ話」ではありませんか。

結果はともかく、大きな感動を呼んだレース展開だったようです。

83位 No.111 GAZOO Racing LEXUS LFA (SP8クラス)
--位 No.114 Aston Martin V12 Zagato   (SP8クラス)

決勝出走:177台/完走:135台

こうしてトヨタとアストンがニュルのピットで育んだ友情から生まれたのが10月24日から日本と香港で合計50台が限定発売となったトヨタ iQベースのCygnet(シグネット)と言う訳です。

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(Avanti Yasunori )

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外部リンク
http://gazoo.com/racing/grmn/nur2011/vln9/
 
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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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