これでやっと中国車も安全になる? C-NCAP(中国車両安全基準)が見直しに!

自動車の安全評価は米国の運輸省道路交通安全局NHTSAが1979年に開始したNCAP(New Car Assessment Program)に習って、オーストラリアではANCAP(1992~)、日本ではJNCAP(1995~)、欧州ではEuro NCAP(1997~)と言った具合に世界各国毎に存在するのが現状で、それぞれ衝突速度や衝突形態などが微妙に異なっています。

中国版のC-NCAPではCATARC(中国自動車技術研究センター)が市場から新モデル車を調達して衝突安全機能テストを行い、テスト結果を星数(最大5つ星)でランキングして公表しているようで、評価項目は以下3項目となっています。

①前面衝突テスト:50km/hバリア衝突
②40%オフセット前面衝突テスト:56km/hバリア衝突
③側面衝突テスト:50km/h台車衝突

これらの評価は日本版JNCAPの評価(6項目)の半数で、且つ衝突速度も5~8km/h程度低いのが実情。しかも噂ではこの評価レベルでも星が付かないにも拘らず、実際には3星評価としているケースが有るとか。

実際、現在開催中(7/22~31)のジャカルタ・モーターショー11で展示中の吉利汽車(ジーリー)のクルマには全車C-NCAP評価「5つ星」を謳うスペックボードが添えられており、こうなると何処までが本当なのか怪しい面も。

そんな背景もあってか、中国メディア情報によると、国内外から中国車の安全性への疑念の声が上がり始めた為、どうやら2012年から試験条件や判定基準を見直してより厳格化する動きがあるそうです。

今回の見直し内容は衝突速度アップ、追突試験・歩行者保護試験・安全装置の装備評価の追加などのようで、恐らく日本のJNCAPのコピー版となる公算が強そうですが、評価が見直されれば中国製自動車の技術力底上げにつながり、現状よりは安全性向上が図られる筈。

但し、あの欧州ですら「Euro NCAP」テスト導入時に現地カーメーカーから猛烈な反対攻勢に遭ったようですから、一筋縄では行かないかもしれません。場合によっては中国製国産車に有利な評価条件が追加されないとも限らない(そんな評価が存在するかどうか疑問ですが)ので、今後の動向から目が離せません。

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2011/07/30/47074

(Avanti Yasunori )

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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