これぞ日本的!? 大注目の軽自動車デザイン その2 【CAR STYLING VIEWS 10】

前回に続き、さらに個性的な軽自動車を紹介していきましょう。

まずは自動車好きにはほとんど注目されませんが、軽トラックからです。何よりも個性的なのはスバルのサンバーかもしれません。

スバル・サンバー。WRブルーのスベシャルモデル。

軽トラックでは唯一RR(リアエンジン・リア駆動)レイアウトを採用し、エンジンは荷台の最後端に収められています。フロントの衝撃吸収構造を重視した最近では、FRでは一般的には前輪を前端に移し座席をやや後方に移動しています。

サンバーは、リアにエンジンを搭載。メンテナンスはナンバーのあるリアカバー部分を開けたり、荷台のカバーを開けたりして行う。

実はこのサンバー、2012年の2月で生産が終了するようです。また名車がひとつなくなってしまいます。

 

スズキ・キャリー(FR)は前輪を前端に移動したが、ショートホイールベース版もある。

 

対するサンバーはある程度足元に余裕があったので、ノーズ部分の延長で対応しています。正直いって不恰好なのですが、実用性という点では非常に魅力的です。また小回りの良さは重要です。ただし床面が高めなので、ワンボックスでは荷室容量が少なくなってしまうのがデメリットです。

 

スズキ・ジムニーは1970年に登場し、現行モデルは3代目となります。

スズキ・ジムニーは凝縮されたメカニズムと高い走破性能が魅力。

軽自動車サイズの軽さと初代から変わらないラダーフレーム&前後リジッド式サスペンションの堅牢さで、トップクラスの不整地走破性を示します。歴史を辿れば軽自動車免許で乗れる不整地走行車として開発され、縦置きエンジン&パートタイム4WDの凝縮されたメカニズムが特徴。しばらくはオンリーワンの存在でしたが90年代に入って三菱がパジェロミニを発表し、こちらも同様に本格的なメカニズムを採用していますが、ややファッション的な要素も織り込んだ独自の路線を進んでいます。

そして三菱ではiも個性的です。後席の下にエンジンを搭載する画期的なミッドシップ・レイアウトを採用することによって、スペース効率を高めたモデルです。

三菱iMiEVはガソリンエンジンよりEVがベストマッチのパッケージ。

ガソリン仕様のi。巧妙にレイアウトされているが、床下のエンジンは振動などへの配慮も必要。

 

しかし独特なレイアウトには、いろいろ課題も残されました。ひとつには重量の重さ。そして、後席下のエンジンの騒音対策です。そのため低回転域で使える余裕のあるパワーユニットが必要で、当初はターボのみをラインナップしていました。

しかしこのクルマの価値を決定的に上げたのが、電気自動車i-MiEVの登場なのではないでしょうか。フロアの2重構造は理想的なバッテリー搭載位置を確保しやすく、また発進トルクの大きなバッテリー&電気モーターの採用は、重い重量を不問としました。そのうえ内燃機関とは比較にならないほど静かな電気モーターは、振動・騒音の問題も解消したのです。まさにEVに非常にマッチしたパッケージを持っていたといえるようです。

全長3.4m×全幅1.48m×全高2m以下のサイズと、排気量660cc以下というエンジンの制約は、ともすると開発の発想の制約さえも大きく制限してしまうものと考えがちです。しかし今回紹介したクルマは、さらにエンジンの配置から駆動系までまったく異なるモデルです。こんなに狭いサイズのなかでこんなに自由なことができるなんて、軽自動車ってほんとうに素晴らしいですね。

 

(MATSUNAGA, Hironobu)