電気を作りながら走る「燃料電池車」に試乗してみた

みなさん、「燃料電池車」ってご存知ですか?水を電気分解すると「水素と酸素」ができますよね。これを逆手にとって「水素と酸素を化学反応」させると電気が発生するわけです。その発生した電気で動力源のモーターを動かすのが今回試乗したこの「燃料電池車」。もちろん排出するのは水だけ。スーパーエコな乗り物なんですよね。

EVはバッテリーの容量に限界があって、通勤や近所のお買いもの的な使い方が中心になってしまいますが、まるで小型発電所を搭載しているような「燃料電池車」は一回の水素充填でガソリンエンジン並みの航続距離が可能なんです。

じゃあ、なんで市販化されないの?

こちらをご覧ください。水素を貯める特殊なタンクです。鍛造のアルミタンクを分厚いカーボンが覆っていますよね。そうなんです、充填するにも持ち運ぶにも水素を超高圧に保たなければいけないんです。安全性を確立するためにはやはりコストがかかってしまうんですよね。だいたい1台あたり1000万円ぐらいまでにはコストが下がったとのことでしたが、やはり500万円ぐらいまで下げないと市販化は難しいでしょう。

こちらが充填スタンド。

さて、ぼくが試乗したのはこちらの「燃料電池エクストレイル」。

乗ってみた感想ですが、まるでEVそのものですね。低速トルクがしっかりあって力強い走りです。発電しながら走ることができるので、EVよりも高出力のモーターを搭載することが可能だそうです。中型~大型車に最適なシステムなんですね。一応バッテリーも搭載しているのですが、こちらは急な上り坂などあくまで緊急用とのこと。バッテリーだけでは500メートルぐらいしか走れないそうです。

もう一台、こちらはマツダの水素ロータリーエンジン。

こちらは「ロータリーエンジン」を水素で動かして発電、その電気でモーターを動力とする「水素ロータリーエンジン」です。このロータリーはガソリン、水素のハイブリット。走行中でも切り替えができる仕組みになっています。RX-8に搭載されているエンジンをそのまま流用することで、コストを下げることができたそうです。こちらは「燃料電池エクストレイル」に比べて爆発や圧縮の過程がありますのでけっこう大きなエンジン音がします。ガソリンよりも水素の燃焼の方が賑やかでしたね。

近距離で小型車はEV、ミニバンやトラック、バスは燃料電池車と住み分けできる時代がくるのでしょうか?やっぱりここでも行政主導が必要になってくるはずなのですが、その行政が安全面などを楯にとって、市販化に対して難色を示しているようなカンジでした。まぁ、水素に税金掛けられませんしね・・・少なくても水素ステーションをSAに設置する方がEV用の急速充電器設備を拡充していくよりも先なのではないかな、という気がしましたね。

(テングダンディ)