ハチロク/BRZのエンジン搭載位置はフロントミッドシップなのかどうかという疑問はさておき、低くエンジンを積んでいるということはエンジンと路面との間のスペースに余裕がないということになります。
そもそもハチロク/BRZはチューニングなどを楽しめる素材というコンセプトでもありますから、そうしたエンジン搭載位置の低さがどんな影響を及ぼすのか気になるところ。
スバルのブースにはハチロク/BRZ専用のエンジン単体が置いてあるので、エンジンを上から下から覗き込みながら、そうしたシミュレートを脳内でしてみるのもモーターショーならではの楽しみ方といえるでしょう。
リッター100馬力の自然吸気エンジンと聞けば、排気系チューニングを施したくなりますが、見たところ、聞いたところによれば、ほとんどスペースに余裕はないので、昔ながらの「タコ足」と呼ばれる等長エキマニをセットするのは難儀しそうということ。見ればわかりますが、ほぼ等長という雰囲気の純正エキマニですから、無理やり交換しなくてもいいか、とも思えます。
そもそも、この写真で左下に確認できる大きな塊が触媒ですから、それ以前の部分で取り回しによる差をつけるのは難しそう。パイプ径を変えるという手はあるでしょうが、自然吸気のままで大幅にパイプを太くしても性能アップに直結するとは限りません。
では、過給器チューンはどうか。まずターボをつけるとしても、エキマニから製作し、その上でターボの置き場を探さなければなりません。エンジン下のスペースに余裕からすると、触媒をそのままの位置にしようと思うと、後付ターボ化はあり得なさそう。純正触媒の位置にターボをつけて、触媒を後方に移すにも余裕はなさそうです。
ところが視線を上にずらしてみると、ある可能性に気付きました。
スロットルボディに直付けできるようなコンパクトなスーパーチャージャーユニットであれば、ちょうど補機類を動かしているベルトで駆動できるのではないか!
とはいえ、スロットルボディの向かって左がオルタネーター、右がウォーターポンプということで、どちらも外すわけにも小型化するわけにもいきません。というわけで、いわゆるルーツ式ではほぼ不可能、遠心式でもかなり小さいスーパーチャージャーユニットでなければ成立しないし、他の補機類と干渉していまうのでは、という話に帰結した次第。
本来ならメジャーを当てて、クリアランスなどなど計測したいところですが、さすがに「お手を触れないください」というエンジン展示でそこまではできません。しかし、手に触れられる距離でハチロク/BRZのエンジンを見ることのできる初めての機会が、この東京モーターショー。
エンジンの展示はスバルのブース。新世代ボクサーエンジンとして、2.0Lディーゼルターボと1.6Lガソリンターボという2つの直噴エンジンに挟まれているので、ターボ化の妄想をするにはサンプルも充実した理想の環境といえるかも。
(山本晋也)