【新型eKワゴン試乗】静かなNAエンジンで加速も良好。ステアリング調整機構など、根本から真面目に取り組んでます

●「素」が真面目に作られたeKワゴン

新型eKワゴンのFFモデルに公道で試乗しました。グレード展開はベーシックなMグレードと、試乗したGグレード(137万7000円)の2つとなります。

Gの全長は3395mm、全幅は1475mm、全高は1640mmとなります。車両重量は830kg。

外観では優しい印象のフロントマスクが特徴。フロントウィンドウに赤外線と紫外線を99%をカットするガラスを採用しています。Gではフロントサイドウインドウにも、この高機能ガラスが採用されました。

また、全モデルで後部ウインドウにUVカット機能付きのプライバシーガラスが組み込まれています。

フロントシートはフレームから新設計です。背もたれ部分をストレートではなく、体にフィットさせるような中折れ形状としていることが特徴。長時間のドライブでも疲労が少なくなるような設定になっています。

また今回、アクセルペダルの踏み込み角度を最適化。靴のサイズが小さい人でもかかとをフロアにしっかりつけた状態で、奥まで踏み込めるようにしています。ちなみに、かかとを支点にしての踏み込み角度は約41度(三菱社内測定値)。

ステアリングのチルト調整についても工夫されていて、レバー操作力を低減しつつ、操作中にステアリングが「ガタン」と下に落ちないように保持する機構も備えたのです。

これで力が強くない人でも、気軽にドライビングポジションを「変えてみよう」という気にさせています。

ちなみに平成29年度の総務省データによれば、日本人の平均身長は男性が171.2cm(40代の平均)。女性が158.2(同)で、約13cmも差があります。女性ドライバー比率が多い軽ハイトワゴンでペダルやステアリングといった根本的な改良を加える事は大変意義がありますよね。真面目。

先代に比べてホイールベースが伸ばされたことで、後席ヒザ前空間は約70mm大きくなっています。

それでいてラゲッジスペース前後長は先代モデル同様に大きく確保されています。地上からラゲッジ床面までの高さは約655mmと低いので、荷室の使い勝手は非常に高いです。

新設計されたボディはRISE(ライズ)と名づけられたもの。これはキャビン部分の高剛性エリアと衝撃を吸収するフロントエリアを上手に組み合わせたものです。

搭載されるエンジン型式はBR06。新設計の3気筒NAです。最高出力は52ps/6400rpm、最大トルクは6.1kgm/3600rpm。ちなみにJC08モード燃費は優秀で29.4km/L。

アイドリングストップ機能は全車標準装備です。減速時には停車前約13km/h以下の領域から、早めにエンジンを停止する「コーストストップ機能」も付いています。

さて試乗します。最小回転半径は4.5mと非常に小さく、取り回し性は良好。

印象的なのは、いい意味でパワーユニットの印象が控えめなことです。1名乗車においては出だしから60km/hまでの加速において、到達時間に不満を持つことはありませんでした。

また遮音材を多く使ったことにエンジン由来によるサウンドも控えめに抑えられています。

サスペンション形式はフロントがストラットで、リヤには先代までの3リンク式に変えてFF車はトーションビーム式になっています(4WD車は3リンク)。

乗り心地に関しては柔らかめの印象ですが、「腰砕け」ではありません。ストロークがうまく制御されているのでしょう。実際、ダンパー径も先代比で太くなっているそうです。

以上、新型ekワゴンは「素」が真面目に作られたことがよくわかる1台でしたよ。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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