2018年9月3日、交通事故総合分析センターが衝突被害軽減ブレーキ(AEB装置)搭載の有無に加えて、車両相互事故のうち、対四輪車の追突事故についての分析を発表しました。
いまでは軽自動車にも普及している衝突被害軽減ブレーキは、搭載されるセンサーにより作動条件(速度や相対速度、対象物、昼夜など)は異なるものの、ドライバーの注意散漫の状態や、脇見運転などの万一の際に、緊急的にブレーキを作動させてドライバーをサポートする機能。
各自動車メーカーは、「万能ではない」と謳っているものの、衝突被害軽減ブレーキが付いていると、事故が大きく減りそうな気がするかもしれません。また、国土交通省も以前から衝突被害軽減ブレーキは「万能ではありません!」と警告しています。
先述したように、交通事故総合分析センターの分析は、車両相互事故のうち、対四輪車の追突事故に限定。同センターでは、衝突被害軽減ブレーキを搭載した乗用車(普通・小型・軽)と非搭載車を比較。登録・届出車数10万台当たりの対四輪車追突死傷事故件数(第1当事者)は、AEB非搭載車が208.9件。
気になる衝突被害軽減ブレーキ搭載車は、98.4件になり、同ブレーキ搭載車は110.5件少なく、事故率は52.9%低くなっています。
52.9%、つまり約半減しているわけですが、思ったよりも少ないか、多いかは意見が分かれそう。同ブレーキには作動条件があり、「万能ではない」ことを理解できていれば上出来と思えるかもしれません。
また、衝突は回避できなくても、被害を軽減しているケースもあるでしょう。しかし、「思ったよりも事故率が低くなっていない」というユーザーが多くいるような気がします。
交通事故総合分析センターは、「統計上ではAEB装置による交通事故死傷者数の低減効果が現れていますが、AEB装置が正常に作動していても、走行速度や走行時の周囲の環境、路面の状況などによっては、 障害物を正しく認識できず、衝突を回避できない場合があり、完全に事故を防ぐことはできません。運転者は、AEB装置の作動条件を記載した取扱説明書などを読むなど、正しく理解をし、AEB装置を決して過信せず、細心の注意を払って運転する必要があります」と啓蒙しています。
※写真と本文は一切関係ありません。
(文/塚田勝弘 写真・出典/交通事故総合分析センター、国土交通省)