なぜその言葉!? ドライバーが覚えた日本語が面白い【TOYOTA GAZOO Racing WRC 2017年シーズン報告会】

2017年11月23日にトヨタ自動車東京本社で行われた「TOYOTA GAZOO Racing WRC 2017年シーズン報告会」へ行ってきました!

TOYOTA GAZOO Racingは2017年よりWRC(世界ラリー選手権)に18年振りに復帰。チーム代表にWRC4年連続チャンピオンのトミ・マキネン、ドライバーにベテランのヤリ-マティ・ラトバラ迎え、シーズン前から注目を集めていました。

11月19日でシーズンを終えマニュファクチャラーズランキングは3位でしたが、第2戦ラリー・スウェーデン、第9戦ラリー・フィンランドで優勝と素晴らしい結果を残してくれました。

オープニングステージに登場したトヨタ自動車GAZOO Racingカンパニー プレジデント友山茂樹氏は今シーズンを振り返るとともに、来シーズンの目標、そしてGAZOO Racingについて語りました。

「今年は我々にとって学びの年であり、1mでも多く走ってクルマ、チームを鍛える1年にすることが目標でした。開幕戦のモンテカルロで2位、第2戦のスウェーデンで優勝と、正直出来過ぎたスタートだなと思っていました。しかし第3戦以降は苦しい戦いが続き、改めてWRCの厳しさを学びましたが、ひとつひとつ経験を重ねて第9戦フィンランドでは優勝と3位表彰台を飾ることができました。フィンランドでは私もマニュファクチャラーズ代表として表彰台に上りましたが、「君が代」が流れた時『やっとWRCの一員として認められた』と感激のあまり涙しました」

さらに続けます。

「社長の豊田はGAZOO Racingの“GAZOO”は単なる一つのブランドではなく、もっと良いクルマを作りたい、もっと多くの笑顔を届けたいという想いを込め『大企業トヨタでは出来ないことを、この小さなカンパニーだからこそ出来る』という戦いの狼煙を上げました。WRC参戦から生まれる人材、ノウハウは必ずやその原動力となると私は確信しております。ラリーを愛し、クルマを愛し、そしてトヨタの挑戦を応援して下さる方々が世界中にいることを本当にありがたく、そして心強く思っています。そういう皆様の期待に沿うべく、来年は更なる飛躍を目指し頑張りたいと思います。今後もTOYOTA GAZOO Racingへの挑戦を応援くださいますよう、よろしくお願いします」

そしてこの報告会に出席するために、最終戦ラリー・オーストラリアを終えたばかりのチーム代表のマキネン、ドライバーのラトバラ、エサペッカ・ラッピ、コ・ドライバーのミーカ・アンティラ、ヤンネ・フェルムが来日! スペシャルトークセッションが行われました。

まずはマキネン代表が今シーズンについて振り返りました。

「今シーズンはタフな1年だったと思います。全てが初めて尽くしでしたし、シーズンスタート前にも掲げた通り『学びの年』でした。ただ、シーズンを通してたくさんのテスト、分析も行う事ができ、情報収集を確実に積みました。スウェーデン、フィンランドと良い結果を出しましたし、全体的にとても良かったと思います。今日ここにいるドライバーもコ・ドライバーも皆笑顔なので、結果オーライなのではないでしょうか」

報告会前日、名古屋にある「トヨタ産業技術記念館」に行ったというWRCチーム。ラトバラは鋳造技術に興味深々だったそうで「キャスティングってどうやってやるんだ?」と質問攻めだったのだとか。

そんなラトバラは、第2戦ラリー・スウェーデンでトヨタに初優勝をもたらしました。その勝因を以下のように語っています。

「スウェーデンに向けて6日間、スノーコンディションでフィンランドでテストができ、充分に準備が出来ていたというのが大きいと思いますね。マシンに対しても自信がありました。私が得意とする高速ステージだったということもあり、非常に良い結果が出せたのだと思います」

そして最後のパワーステージ前に、マキネン代表からアドバイスがあったと言います。

「あのパワーステージは非常にエキサイティングでした。実はパワーステージが始まる時に『アプローチはどうしよう』とナーバスになっていたんですけれども、トミ(マキネン)から『全力で行け、お前ならできる!いつも通りやればいい』と後押ししていただけたので、それも良かったのかなと思いますね。終わった時の気分は最高でした!」

サードドライバーとしてチームと共に世界中を帯同していたラッピは、第6戦ラリー・ポルトガルでデビュー。そのわずか4戦後の第10戦ラリー・フィンランドでキャリア初優勝を果たしました。

「あの時は、特別な瞬間でした。『WRCカーに乗って勝つ』という私の夢がこんなに早く実現したというのは、非常に嬉しかったです」

「初優勝がみえてきて、不安はなかったか」という司会者からの質問に対し、

「正直に言いますと、日曜日最終ステージでちょっとしたミスをしてしまい、リアを壊してしまったんです。それもあって、自分としては初めてナーバスになりました。でも非常にエキサイティングなイベントだったと思います」

と当時の心境を明かしてくれました。来シーズンは、初戦からフル参戦! 今後の活躍が楽しみなドライバーです。

ラリードライバーに欠かせないのが、助手席に座ってドライバーに必要な情報を伝えながらコースをナビゲートするコ・ドライバーの存在。ラリーは高速で様々な環境のコースを走行するので、絶対的な信頼関係がないと成り立ちません。なので、長年同じペアを組むことが多いんです。

ラトバラがWRCデビューをしてからずっと一緒に戦ってきたコ・ドライバーのアンティラは、今年一番大変だったことを以下のように語りました。

「最初は『学びの年』という位置づけからスタートしたんですけれども、それもあって1戦目、2戦目と良い結果を出せたのは正に予想外でした。ただ、メキシコはトヨタにとって初めてのコンディションだったので、テストが少し足りなかったですね。高地ということで様々な問題がありましたが、それを元にチームが迅速に動いてくれ、次の似たようなコンディションでは直っていました。これがこのチームの強みだと思います」

ラッピのコ・ドライバー、フェルムはチームについて面白いエピソードを話してくれました。

「チームが一丸となって目標に向かっているのが強いですね。そして一緒に日々働いている、例えばエンジニアですとか実はシェフも凄く一流の人がいるんですよ。そういった人と一緒にやっていけるというのが嬉しいです。こういったことが2018年も続くと期待しています」

ちなみに、チーム専属シェフ一押しの料理は、豚の角煮だそうですよ。食べてみたーい!

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
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