新型プリウスPHVが現行プリウスよりも全長が105mm長いワケ

トヨタ自動車 MSデザイン部 第2デザイン室長の児玉修作氏にうかがうと、新型プリウスPHV開発の途中にEV走行距離の見直しの議論が起こり、結果60kmというターゲット距離の延長が決定。

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これにより、PHVの開発が1年間休止となり(デザインやパッケージングなど。電池などの分野は開発を続行)、その後、新しいパッケージではリヤオーバーハングが80mm延長されました。

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EVによる航続可能距離60kmを実現するため、駆動用バッテリー(リチウムイオン)の強化に対応する新しいパッケージをもらった時に、プリウスとプリウスPHVのデザイン面での差別化がより決定付けられたそう。

児玉氏が試作車に試乗して「圧倒的なEVパワーと、重量が重いこともあって路面に吸いつくような走り」を実感し、この感覚をユーザーの方にも伝えたいと、外観は「水平基調で前後に伸びやかな意匠」とされています。

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さらに、現行プリウスPHVは、先代プリウスとの見かけ上の差も少ないという声も上がっていたそうで、新型プリウスPHVが素のプリウスよりもアグレッシブなデザインになった理由のひとつになっているとのこと。

リヤオーバーハングが80mm延長されたことで、全体の重量が増え、フロントの衝突要件と意匠のクオリティ向上を目的としてフロントも25mm延長。

それらの結果、現行プリウスから105mmの全長の延長になっています。PHVの大きな魅力であるEV航続距離の見直しが、ボディサイズや外観デザインの変更にも及んだことになります。

(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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