スズキAPVといえば、インドネシアで生産されるスズキの世界戦略車です。バンタイプもありますが、インドネシアでよく見かけるのは7または8人乗りのミニバンです。
富裕層に人気のクルマのお話でもお伝えしましたが、インドネシアでは子供がだいたい4人くらいいて、6人家族がフツウです。なので、当然ミニバンが人気となります。
そんなスズキAPVの助手席、センター、リヤ席のインプレッションをお届けします。
乗り込むまでは軽ワンボックスの幅が広がったくらいのものかな、と思っていましたが、実際にドアを開けた感じでもひとクラス上の感じです。フロントのホイールハウスかなり前方に位置するので、乗降性も良好です。
静粛なクルマとは言えませんが、それなりのエンジン音が車内に入ってきても、イヤな感じはしません。
1.5リッターのエンジンはボディーサイズに対してやや非力のようですが、元気一杯に回して走っている姿は健気にも写ります。このクルマはマニュアルですが、シフトフィーリングはライバル車のトヨタ・アバンザのほうがいい、と運転しているかたは言ってました。
セカンドシートはセパレートのものと、ベンチのものがあります。乗ったのはベンチシートで、広さ、座り心地ともに申し分ナシです。エンジンから遠ざかるため、会話も弾みます。
驚いたのは3列目です。ミニマムで座るのは辛いだろうな、と思っていました。事実、その前に乗ったライバル車のトヨタ・アバンザは大人が長時間座るにはちょっと辛いスペース、シート形状でした。
ところが、スズキAPVでは、ゆったりとは言いませんが、十分フツウに座れます。さらに、シートクッションの厚みがたっぷりあって、とても座り心地自体がいいんです。おそらく、折り畳んだ際のスペース効率などは優先されていないこともあると思いますが、コスト優先で作られるこのクラスにあっては、とても優秀なサードシートだと思います。
インドネシアではトヨタブランドが圧倒的に強力ですが、それでもスズキAPVも多く見かけます。その理由が乗ってみると、特に3列目に座ったらとてもよく分かった気がしました。
(小林和久)
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