ホンダが『超低燃費と世界最小サイズを実現した新型家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニットを各ガス事業者へ供給開始』と発表。この新型ガスエンジンが非常に興味深いものとなっています。
このカットモデルをパッと見ただけではただの単気筒エンジンに思えるかもしれませんが、よくよくクランクシャフトあたりに注目すれば、そこに通常のエンジンには見られないリンクが存在するのが確認できます。
このエンジン、吸気行程と膨張行程のストローク長が異なる高膨張比のアトキンソンサイクルを実用化した、ホンダいわく『世界ではじめて量産に結びつけた』ものなのです。
その肝となる技術が、『EXlink(エクスリンク)』と名付けられたコンロッドとクランクの間に挟まれたリンク機構。
このEXlinkによって、吸気・圧縮行程のストロークは短く、膨張・排気行程のストロークが長くなっていることを示しているのが、次のイラスト。通常のエンジンでは吸気量と排気量は同一ですが、このエンジンでは吸気量を110cc、排気量を163ccとしています。
単純にいうと、エンジンが運動エネルギーを生み出すのは膨張行程だけですから、それ以外の行程(ストローク)を短くすればエンジンを動かすのに消費してしまう分のエネルギーが少なくできます。つまりエンジンから取り出せるエネルギーが増えるというわけ。
実際、発電機としての熱効率は従来型の22.5%から、EXlinkを採用することで26.3%へと向上しているとのこと。
発電機というのはクルマに比べると圧倒的に一定回転で使用されるものですから、このEXlinkがすぐさま自動車用エンジンに応用されるとはいえませんが、エンジンで発電してモーターで走るシリーズハイブリッドカーや、ギア比を連続的に変えられるCVT搭載車(スクーターも)であれば移動体のエンジンとしても利用できそう。
これだけの技術がコージェネレーションシステムだけで終わるとは思えません。
今後の展開に期待しましょう!