【自動車用語辞典:維持費「自動車保険料の決まり方」】事故歴で決まる等級や年齢、車種、使用目的などから算出

■事故を起こさないと安全なドライバーと判断され、保険料が下がる仕組み

●ドライバーの交通事故の発生リスクの大きさで区分する保険料制度

自動車保険には、購入者がクルマの使い方に応じて条件を設定する、あるいは保険会社が交通事故の発生リスクを考慮して条件を設定する制度があります。

自動車保険に組み込まれているさまざまな保険料制度について、解説していきます。

●保険の等級制度

自動車保険の基本的な割引/割増制度が「等級制度」です。実績で決まる等級によって、保険料の割引率/割増率が決まります。

保険会社によって等級制度の内容は多少異なりますが、1年間保険を使わないと翌年の契約が割引され、保険を使うと割増されます。ある保険会社の例では、事故を起こさない(保険料を使わない)と毎年1等級ランクアップして割引率は1%ずつ上がり、事故を起こす(保険を使う)とその時点から3等級ランクダウンして割引率は3%下がります。

事故を起こさないと安全なドライバーと判断され、保険料が下がる仕組みです。

軽微な事故なら、保険を使わずに自費で修理代など補償金を払った方が、その後の保険料が上がらず長い目で見て保険料の総額が安くなることがあります。このような場合、保険を使うか、使わないか悩むところです。

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事故を起こさなければ事故等級がアップする

 

●年齢条件と家族限定

比較的保険料への影響が大きいのが、年齢条件です。

一般的には、「全年齢担保」、「21歳未満不担保」、「26歳未満不担保」、「30歳未満不担保」の4種類の年齢条件を設定しています。

年齢条件で若い人を除外すると、保険料は安くなります。保険会社によっては、年齢制限を付けると、全年齢担保の場合の保険料の半分近くまで下がる場合があります。

自動車保険は、年齢条件を満たしていれば誰が運転しても補償が受けられるのが基本です。家族限定にすれば、保険料は安くなります。

ここでの家族とは、一般的には同居の家族あるいは生計をともにする別居の独身の子供を指します。また、本人だけが保証される運転者本人限定という割引制度を採用している保険会社もあります。

●使用目的別保険料と走行距離別保険料

クルマの使用目的によって事故の発生確率に差が出るという考えに基づき、事故発生リスクが保険料に加味される使用目的別保険が組み込まれています。「レジャー」、「通勤通学」、「業務」の3つに分けられ、右にいくほど事故リスクが高まるので保険料が高くなります。

走行距離別保険料を組み込んだ保険も増えています。

走行距離が長いほど、事故発生のリスクが高まるので保険料が高くなるという考え方です。距離で区分するのが一般的ですが、区分の仕方は保険会社によって異なります。

●排気量別保険料と型式別保険料

車両保険以外の保険では、排気量別保険料が採用されている場合が多いです。

ガソリンエンジンの場合は、軽自動車以外では1500ccと2500ccを境に3つ区分され、排気量が大きいほど保険料が2割程度高くなります。

一方で、車両保険は型式別保険料が採用されています。型式とは、基本的な車両構造などに基づいて自動車を分類する公的な単位です。型式ごとに保険実績に応じて1~9クラス分けして保険料を決めるのが、型式別保険料制度です。

例えば、高級車やスポーツカーは、盗難されやすい、スピードが出やすいなどの理由でハイクラスとなり、車両保険の保険料は高くなります。


保険は、保険料と補償の範囲のバランスをどう取るかが、悩ましいところです。

一方で年齢条件や家族限定は、思い切って運転する人を限定すれば保険料を安くできるので、今一度検討し直す価値はあると思います。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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