TVで「洪水時はパワーウインドウが使えない」を連呼するが「車両の水没直後なら稼働します!」

■クルマが走れる水深は床下まで!

水没した時の対応をTVなどで伝えている。皆さんJAFなどのVTRを見て「水没したら車内に水が溜まってから開ける」とか「窓ガラスを専用ハンマーで割って出る」と紹介してます。そして「パワーウインドウは使えない」。なぜパワーウインドウが使えないと言うのだろう? 検証もせず、水に浸かったら電気系統が即座にアウトになると考えているらしい。

JAFによる水没のテスト風景01
JAFによる水没のテスト風景(イメージ)

実際どうか? 洪水に遭遇し「クルマが浮いてしまった」とか「エンジン止まってしまった」という段階なら確実にパワーウインドウが稼働する。池や海に落ちてしまい窓ガラスまで水没しているのに、ヘッドライトが付いていたりワイパー動いているシーンをよく見る。電装品って水没直後なら生きてます。そもそも浮く程度なら電装品は水に浸かっていない。

水没した時の正しい対応を確認しておく。水に浮いたり流されたりエンストしてしまった際「逃げだそう!」と考えているなら、すぐパワーウインドウで窓ガラスを開けること。浮いた状態だとドアには水圧が掛かってしまっており基本的に開かないけれど、窓ガラスなら簡単に開く。ヨーロッパ車など水没を感知したら全ての窓ガラスが自動的に開くようになってるほど。

ちなみに窓ガラスまで水が来たら、もうパワーウインドウも使えない。水圧のスラスト掛かり、窓枠に窓ガラスが押しつけられてしまうからだ。こうなると相当難しい。窓ガラスとドア内張の隙間が大きいクルマならヘッドレスト抜き、金属棒を隙間に押し込めば割れます。いろんなクルマでチェックしてみたら、ヘッドレストの棒を差し込めない車種ばかりだった。

それ以外に試せるとしたら、何でもよいから金属を窓ガラスに押し当てておき(ヘッドレストの金属棒でもよい)、その上から蹴飛ばすことくらい。とにかく「水没したらパワーウィンドゥ!」だと思えておいて頂きたい。ただ東日本大地震で津波にのみ込まれたクルマを見ると、ドア閉めたまま流され助かったケースもある。こうなると「運」になってくると思う。

JAFによる水没のテスト風景02
JAFによる水没のテスト風景

クルマが走れる水深は床下まで。動いていない水であればドア開口部の下くらいまで走れるけれど、流れている水だと水の抵抗にかなわなくなる。よく波を立てて走っているクルマを見るが、基本的にはいつ止まってもおかしくない。走るなら床下までを確認し、波を立てずゆっくりが鉄則。土砂降りで道路が確認出来ないなら、高い建物の近所で待つことです。

(国沢光宏)