●決勝スタートは25日午前10時。決勝にかける意気込みをドライバーに訊いた
8月23日のフリープラクティスから始まった2019第48回サマーエンデュランス『BHオークションSMBC鈴鹿10時間耐久レース』、略してSUZUKA 10H。
SUPER GTでは34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3として活躍しているマシンが、SUZUKA 10Hでは「034」号車として登録されています。2019年のSUZUKA 10HはブランパンGTワールドチャレンジの中の一戦として登録されているため、シリーズエントリーのチームで34番を譲って034号車として参戦することなりました。
SUPER GTに参戦しているときとSUZUKA 10Hではマシンの仕様に大きな違いが3つあります。
まずタイヤがピレリのワンメイクであること。SUPER GTではタイヤメーカーに指定はありませんので Modulo KENWOOD NSX GT3ではヨコハマタイヤを使いますが、SUZUKA 10Hでは全チームがピレリタイヤに統一されます。昨年はピレリタイヤとヨコハマタイヤの特性の違いにかなり苦労をしていましたが、今年のマッチングはどうなっているのか気になるところです。
そしてもう一つはフロントにライトが追加されていること。SUZUKA 10Hのフィニッシュ時間は夜の8時なので午後6時を過ぎたころにライトオンの指示が出ます。7時を過ぎるとグランドスタンドのあるメインストレート以外は暗闇といっても過言ではありません。より遠くを明るく照らすためにヘッドライトの下に追加のライトを装着しているのです。
増設したライトは空気抵抗にならないようにフロントバンパーの中に納まっています。
3つ目はフロントウインドウに設置されたサインシステム。ここには現在の順位、現在のドライバー、参戦するクラスが交互に表示されます。
「OTS」という表示は大津弘樹選手の名前を略したものです。耐久レースではピットインなどで見た目の順位がわかりにくくなることからこの様なサインシステムが導入されています。順位のみを表示するサインシステムは日本のスーパー耐久ですでに導入されています。
ドライバーはお馴染みの道上龍選手。
SUPER GTでもコンビを組む大津弘樹選手。
そして長い長い10時間を戦うための3人目のドライバーは中嶋大祐選手。この3人のドライバーが10時間先のゴールを目指します。
道上選手にSUZUKA 10Hの意気込みをうかがうと「世界のGT3使いが集まっているレースですから一筋縄ではいかないでしょうけど、SUPER GTをやりながらでもSUZUKA 10Hに向けて考えたりと準備はしてきたし、マシン自体の耐久性は問題無いのでレース中盤あたりからじわじわと上位に入ってくるんじゃないかなと思っています」と語ります。
大津選手は「世界戦でありタイヤがピレリのワンメイクということでチームやドライバーの差がはっきり出るレースだと思います。今年は2年目の挑戦ですが世界を相手に戦えることを非常に楽しみにしています」と語ります。
今回第3ドライバーで参加する中嶋選手は「普段から道上さんや大津選手とは一緒に食事をする間柄ですし、道上さんとは2013年にGT500でペアを組んでいるのでチーム自体にはすぐに馴染めました。シリーズで乗っているGT500と今回のマシンではあらゆる面で違いますがチームの雰囲気がいいのでGT3マシンのドライブに集中できるというのがうれしい点です。僕は第3ドライバーとしてレギュラードライバーの二人を引き立てられるような走りをしていきたいと思います」と語ります。
フリープラクティスはレインコンディションの中で行われており、予選・決勝の時とはかなりコンディションは違うと考えられます。しかしお話をうかがうとチーム内の雰囲気はかなり良いと言えるでしょう。
「目標はベスト5.そこに入れたらアジアのベストやSUPER GT参戦チームの中でのベストになっているでしょう」と道上選手が語る言葉が絵空事には思えない。そんな期待が膨らむフリープラクティスのModulo Drago Corseでした。
決勝レースは25日午前10時スタートです。
(写真:松永和浩、高橋秀彰 文:松永和浩)