【自動車用語辞典:ボディ「車体の構造」】「ラダーフレームボディ」と「モノコックボディ」に大別できる

■現在ではモノコック構造が主流

●プラットフォームの共用化も進んでいる

現在ボディ構造として採用されているのは、一部のオフロード用SUVに採用されているラダーフレーム構造とその他ほとんどのクルマで採用されているモノコック構造です。

ラダーフレームとモノコックの構造と特徴について、解説していきます。

●ボディ構造の種類

クルマの構造は、「ラダーフレームボディ」と「モノコックボディ」の2種に大別されます。ラダーフレームは、ランクルやジムニーのようなオフロードSUVで採用されていますが、ほとんどのクルマはモノコックです。

ラダーフレーム構造は、フレームが骨格として体を支えているので人間や動物に、モノコック構造は、外側の硬い殻で体そのものを支えている昆虫や甲殻類に例えられます。

●ラダーフレームボディ

ラダーフレームは、馬車の構造を起源とした昔からある基本的な構造です。ハシゴ状のフレームの上に別に製造したボディを載せて、エンジンやサスペンションなど主要な部品はフレーム側に搭載します。ボディが歪んでもフレームさえ無事ならば、問題なく走行できる強みがあるので、トヨタ・ランドクルーザ-やスズキ・ジムニーなど一部の本格オフロード車に採用されています。

フレーム自体は、独立して頑強ですが、重くて車内スペースが十分に確保できないという課題があります。

●モノコックボディ

乗用車のほとんどが採用しているモノコックボディは、ボディとシャシーが一体の卵の殻のような構造です。プレスで成形した1~2mm程度の鋼板を重ねた部分をスポット溶接でつなぎ合わせて、箱型に組み立てています。一体構造なためボディ剛性が高く軽量で、しかも車内スペースを確保でき、乗り心地も良好です。

一方ですべての面で支え合っているので、衝撃が加わったときにボディ全体が歪み易く、最悪の場合は走行困難になることがあります。

ラダーフレームとモノコックの中間的な「ビルトインラダーフレームモノコック」という構造もあります。フレームとボディを溶接して一体化したフレームレスボディです。フレームの頑強さとモノコックの長所を取り込むことをねらっており、三菱・パジェロやレンジローバーなどが採用しています。

ボディの基本構造図
現代の乗用車ではモノコックボディが主流。頑強なラダーフレームはトラックやオフロード車などに用いられる

●衝撃吸収ボディ

単純にボディを強固にすれば、乗員の安全が確保されるというわけではありません。

最近のクルマは、衝突時に車室前後のクラッシャブルゾーンを変形させて衝撃を吸収し、車室の変形を抑えることによって、乗員の安全を確保します。具体的には、車室周りの強度を上げて、エンジンルームやトランクは柔らかくしておくことで衝撃を吸収します。

衝突安全ボディは、トヨタではGOA(グローバル・アウトスタンディング・アセスメント)、日産ではゾーンボディと呼んでいます。

衝撃吸収ボディの概念図
現代の乗用車では車室回りの強度を堅くするいっぽう、エンジンルームやトランクを柔らかくすることで衝撃を吸収する

●プラットフォームの統一・共用化

プラットフォームは、モノコック構造のボディや外板を除いたシャシー部分を指します。

近年自動車メーカーは、プラットフォームの統一・共用化を積極的に進めています。例えば、トヨタはTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)、日産はCMF(コモン・モジュール・ファミリー)という統一コンセプトによって推進しています。

狙いは、生産基準の統一による生産設備の投資抑制や生産性向上、さらに共用構造による開発費の抑制です。同じプラットフォームでも、ホイールベースやサスペンションなどの設定変更によって、クルマのスタイルや性格を変えて対応します。


ボディ構造は、軽量でありながら剛性が高いフレームレスのモノコック構造が主流ですが、実際には状況に応じて前後方向や横方向にはメンバーを追加しています。剛性を強化する目的とともに、潰れない部位と潰れる部位をコントロールする役目をしています。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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