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■ユーザーにとって一番実用的なのが「実燃費」
●通常「満タン法」で燃費を計測、その注意すべき点は?
一般路での実走行の燃費を、一般的には「実燃費」と呼びます。
実燃費は、そのクルマの燃費性能・普遍的な燃費を示すものではなく、あるユーザーのその時々の条件の燃費を示すもので、再現性のないその時だけの燃費です。実燃費の変動要因にはどのようなものがあり、どのような影響を与えるのか、解説していきます。
●実試験とは?
実燃費は、実際に一般路を走行した時の燃費ですが、メーカーが公表しているわけでもなく、特定のクルマの燃費性能を示すものでもありません。
実燃費は、ドライバーや走る道路が変われば変わり、渋滞の状況や気温、湿度によっても左右されます。再現性のあるものでなく、走れば走るほど、異なる燃費値が出てきます。
したがって、「そのときの、その環境下での、あるドライバーの運転操作の結果に過ぎない」と言えます。
●いろいろな条件によって変化する実燃費
・走行条件
一定車速で走行する場合、車速60~70km/hで最も燃費が良くなります。登坂走行、アクセルやブレーキ操作を繰り返す加減速、渋滞時には燃費は悪化します。
・環境の影響
気温と燃費には相関があり、気温1℃の上昇で燃費が0.5~1.0%良くなるというデータがあります。気温の上昇による暖気時間の短縮や、走行抵抗の減少が寄与しています。しかし、夏場のように気温が上がりエアコンを使用し始めると、燃費は一気に悪化してしまいます。また、雨天時には、タイヤ表面温度の低下や転がり抵抗が増加するため、燃費は悪化します。
・エアコンの影響
エアコンのコンプレッサはエンジンで動かすので、エアコンを使えば条件によっては15%程度燃費が悪化します。
・その他
クルマの重量(乗員数や荷物の積載量)、タイヤの種類や空気圧と劣化状況などにも、燃費は影響されます。
実燃費を良くするには、上記要因の影響を考慮して、クルマを使用することがポイントです。
●実燃費の計測法は?
一般的に採用されている実燃費の計測法は「満タン法」です。
走行前後に燃料を満タンにして燃料消費量を求めて、その間の走行距離を燃料消費量で割る方法で、簡単に燃費を求めることができます。毎回正確に同じ場所で同じように給油すれば、かなりの精度で実燃費を確認できます。
また、最近多くのクルマでは、ECU(エンジン制御コンピューター)の噴射信号を用いて実燃費を算出する車載燃費計を装備しています。算出した瞬時実燃費や平均実燃費は、インパネメーターに表示されます。
どのような運転をすれば、燃費が良いか、悪いかを確認できます。エコ運転したいなら、非常に参考になりますので活用してみてください。
車載燃費計の平均実燃費[km/L]は、エンジンECUの燃料噴射信号(燃料を噴射している時間)から求めた噴射量と、車速センサーから求めた走行距離を使って算出されます。瞬時実燃費[km/L]は、短期間(2~3秒)の噴射量と走行距離から算出し、計測結果を順次更新ながらメーターに表示します。
実燃費は同一車種であっても、ドライバーの数だけ、走った回数だけ、存在します。クルマの燃費性能を横通しで評価し、比較できません。ただし、日常的に実燃費を意識すれば、クルマの調子やエコ運転の参考にできます。
燃費性能を同一条件で評価するためには、次に説明するモード燃費があります。
(Mr.ソラン)