千葉県・幕張メッセにて開催中の「東京オートサロン2019」。東7ホールの「T3R Simulator」ブースは本格的なVRドライビングシミュレーター「T3R Simulator」の体験イベントを行っています。
イベント2日目に、このドライビングシミュレーターを開発した株式会社アイロックの代表取締役であり、現役のNASCARドライバーである古賀琢麻選手の2019年の参戦体制を発表しました。
古賀選手が参戦しているカテゴリーは、アメリカの国民的人気モータースポーツ「NASCAR」のシリーズの1つである「NASCAR K&Nプロシリーズ」。2017年からシボレーからフル参戦、昨シーズンはドライバーズランキングでアジア人最上位の9位という成績を残しました。
2019年シーズンはさらなる飛躍を目指し、同シリーズの昨シーズンチャンピオンチームであるパフォーマンスP-1モータースポーツ(PP1M)へ加入、カーナンバー77のトヨタ・カムリをドライブすることとなりました。
「このチームはK&Nのなかでトヨタのエースチームといえ、去年のチャンピオンチーム。こういう環境に来ることができたことを感謝したいですね。4年前にシリーズに復帰して、3年前はフル参戦が目標で、去年はアジア人として初めてランキングトップ10入りしました。あとは勝ちしかなく、周りの方が期待して作ってくれた状況です。アメリカに行って初めて環境を準備してもらったので、絶対やらなきゃいけないなと思います」
と古賀選手。
この参戦体制発表会には、同選手の活動を支えるスポンサー・ファンはもちろん、十数年来の仲だという人気ロックバンド「クレイジーケンバンド」の横山剣さんも駆けつけトークショーが行われました。
その中で古賀選手は、昨年のチャンピオンチームでシーズンを戦う為に減量に努めたと話しました。理由は「自分の前に乗っていたドライバーと近い体重であればマシン作りも上手くいく」というもの。そのため炭水化物や酒類を避けた食生活とトレーニングを行っていました。
それだけではなく、チームとのコミュニケーションを確立するために元日からアメリカへ向かい、3日にはテスト走行を開始しています。その一方で自身のビジネスであるシミュレーターの商談などもこなすハードスケジュールです。
「T3R Simulator」は、古賀選手が当時車両開発に使われているシミュレーターの精度に納得できず、「もっと実車の運転をリアルに再現できないだろうか?」というコンセプトからスタートし誕生しました。今では定番になりつつあるVR(ヴァーチャル・リアリティ)ヘッドマウントディスプレイをいち早く採用。同選手は、よりリアルな臨場感はもちろんのこと、仮想現実の映像と現実での「ズレ」から生じる「VR酔い」を引き起こさない努力を続けています。
自身のレーシングドライバーの経験によって得たクルマからドライバーに伝わる振動・動きなどといったフィードバックを活用、更に実車のデータを活用し「ズレ」を徹底的になくしています。結果としてシミュレーターソフト上のクルマの動きを現実と違和感なく感じることが可能になりました。
この性能が自動車業界内で高く評価され、今回のオートサロンにもスズキが「新型ジムニー」のVRシミュレーターとして導入したり、ホンダの研究開発をサポートするATJが実際の開発プロセスのなかでシミュレーターを活用していることでブース内に体験展示をしています。
またT3R Simulatorブースでは、トヨタ自動車の「プリクラッシュブレーキ(自動ブレーキシステム)」や普段の運転で遭遇する「ヒヤリ・ハット」を体験できるシミュレーターも体験展示されています。
トヨタ自動車のスポーツブランド「GR」専門ディーラー「GR Garage」や東京都渋谷区にあるアミューズメント施設「VR PARK TOKYO 渋谷店」にも導入されているのでぜひ体感してみましょう。
ちなみに古賀選手の参戦体制発表会があった土曜日は、1月18日(金)に全国公開の人気カーアクション映画シリーズの最新作「TAXi ダイヤモンド・ミッション」とのコラボレーションで、前作までの主人公・ダニエル(サミー・ナセリ)の愛車である「プジョー407 TAXi仕様」をVRドライブ体験できました。またたく間にシミュレーターの体験予約枠はいっぱい、見物人による人だかりも。
古賀琢麻選手の2019年に目が離せません。
最後にこのブースを彩るコンパニオン・肥後なつみさんのキュートかつクールな写真で締めくくります。
(文・写真 クリハラジュン)