【マツダ・アテンザ試乗】てんこ盛りの大改革。ディーゼルはスペックアップ、ガソリンは気筒休止で大幅深化

最近のマツダは毎年のように改良を行うようになっています。そうした流れのなかでアテンザも大きな変更を受けました。

もっとも大きな変更を受けたのがディーゼルエンジンです。排気量はそのままですが、最高出力が従来の175馬力から190馬力に、最大トルクが420Nmから450Nmへ向上しました。

とくに中低速域でのトルクアップが効いていて、アクセルを踏むとストレスなく回転が上がり、そこにトルクがしっかりとついてきます。エンジン内部の抵抗が減っていて、無理なく働いている印象で気持ちいい加速を味わえます。

 

2.5リットルのガソリンエンジンも2馬力、2Nmのパワー&トルクアップが行われましたが、それよりも大きな出来事があります。それは気筒休止システムの採用です。これは定常走行をしているときに4気筒のうち2気筒での燃焼を止めて、効率を向上させようというものです。

この出来が非常によく、2気筒が休止していることがわかりません。インパネ上にもインジケーターはなく、気筒休止状態はドライバーにはわからないようにしています。わからないようにした理由は、気筒休止状態が燃費にいいとは限らないので、ドライバーが気筒休止を狙ったドライビングをすると結果が悪くなる、なにより“運転を楽しんでいただくため、気筒休止を過度に意識させないのが目的”とのことでした。

でもやっぱり、エンジンがどうなっているのかは知りたいのがドライバーの気持ちでしょう。そんなことを言ったら、ATのタコメーターは不要ですし、水温計も軽自動車のように警告灯で十分です。ドライバーの気持ちは違うということは、エンジニアにしっかりと伝えたので、もしかしたら改良されるかもしれません。

 

足まわり関係も大きくリフレッシュされました。全体として抵抗の少ない、よく動く足まわりを目指したセッティングで、乗ってみてもその効果を感じられます。コーナリングの初期のロールがスッとしていて、入り口から出口まで引っかかりのないスムーズな動きになっています。

ただ、足まわりチューンにタイヤのマッチングが含まれていることが気になります。タイヤは交換される部品ですし、標準タイヤに交換する人は少数派です。ですのでタイヤを含むようなマッチングチューンはちょっと疑問を抱いてしまいます。

  

シートも大きな変更を受けました。シート全体を硬く、しっかりとしたものとしたことで、クルマの動きがよりわかりやすくなりました。ただちょっと硬すぎる印象もあります。

新車で馴れていないからかも知れませんが、表面はもう少し柔らかくて変形してくれたほうが密着感が生まれるでしょう。試乗車がいずれも革シートであったことも影響しているかもしれません。いずれにしろ、もう少し馴れたシートを何ヶ月後かに試してみたいものです。

 

(文・写真:諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
続きを見る
閉じる