【試乗】SUBARU AWDで雪国の「普通の道」を走る。インプレッサSPORT 2.0-S EyeSight編

内輪の話みたいで恐縮ですが、冬の時期になると雪上あるいは氷上での試乗会が多数開催されます。

けれど、その多くはテストコースやサーキット、あるいは凍った湖の上など、かなり限定された場所、環境で「当社自慢の製品を試してください」と機会を作ってくれます。いわば、良くて当然のシーンをお膳立てしてくれるわけです。

いや、そうじゃないんだ。突然の路面や天候の変化、雪国における日常での使いかたにこそSUBARU AWDの良さは活きるというのをわかってほしい、という思いから、SUBARUでは、青森から安比高原までの公道を使用した試乗会を催したのです。

というのも、世界中で販売されるSUBARU車の中のAWDの割合はどれくらいと思いますか? なんと、98%がAWDなんですって。勝手に7割くらいか、せいぜい8割だろうな、などと思ってましたが、98%と言えば、ほぼ全部と言ってもいい数字です。それほどまでにAWDに命を吹き込んでいるメーカーとしての思い入れがこのイベントから伝わります。

これまた業界の話みたいになりますが、「雪の上でもほら、ちゃんと走るでしょ」という結果をいろんな媒体に掲載されることを雪国対応製品を販売している会社の広報部は期待しているわけですから、雪が確実にある場所でそのイベントを開催しなければなりません。しかも、雪国って生活のためにちゃんと除雪が整っていたり、毎日雪が降ってるわけでもなく、そうするとただのアスファルトと変わらない道を走ったインプレや、場合によっては白い雪がまったくない写真ばかりの記事が掲載される可能性だってあります。かといって、ここぞとばかりにお天道様が本気を出して雪を降らせて、周辺道路は「全線通行止め」ということになると、広報本部長から「この企画発案した人は始末書出して」みたいなことを言われかねない、広報部員にとっても雪上公道試乗は、背筋も凍る企画と言えるのかもしれません。

この企画が成功するのかしないのかは、これを許可した広報部長が持ってる人か、持ってない人かが判明するという我々にとっても車両の性能以上に数日前から興味津々の企画だったのです。

と、前置きが長くなりましたが、試乗前日に青森入りした我々は、いま予定コースを走ってきたというかたからコース状況を聞いたところによると、雪はほとんどなく、「普通の道路がほとんどだった」とのこと。様々なバリエーションの記事を期待する記事編集サイドも、明日の試乗会の無事開催が危ぶまれます。

翌日、青森駅付近から出発します。最初に乗るのはインプレッサSPORT 2.0-S EyeSightです。カラーはクォーツブルー・パール。

インプレッサは言うまでもなくSUBARU車の中核をなす車種であり、その中でもハッチバックのSPORTが売れ筋です。セダンのG4との販売比率は、現モデルになっておよそ8割がSPORTとなっているそうです。また、排気量、グレード、駆動方式で分けた場合、インプレッサシリーズの中でこのインプレッサSPORT 2.0-S EyeSight AWDがもっとも売れていることになります。

そんなSUBARUの中心とも言える車種は雪国にどのように対応しているんでしょう。

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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