復活した10代目シビックはセダンが国内工場製造、ハッチバックがイギリス工場での製造となります。この生産工場の違いが意外な面で影響を及ぼしています。それはエンジン出力の違いです。
エンジンはいずれも1.5リットルVTECターボですが、国内製造のセダンはCVTのみが組み合わされ、最高出力が173馬力、最大トルクが220Nmとなります。
一方のイギリス製造のハッチバックはMTとCVTの2タイプのミッションが用意されています。エンジンの最高出力はミッションの違いに関わらず182馬力、最大トルクはCVT用が220Nm、MT用は240Nmとなります。
つまり、イギリス製造のハッチバックのほうがエンジン出力が高いのです。最大の違いは指定燃料の違いと言えるでしょう。国内生産モデルの指定燃料はレギュラーガソリン、イギリス生産モデルの指定燃料はプレミアムです。
セダン、ハッチバック、それぞれのCVTモデルに試乗しましたが、エンジンの性能に目を見張るほどの違いはありません。
ハッチバックのほうが高回転域の伸びがよく気持ちいい回転上昇を味わえますが、常用域での違いはほとんどありませんし、その高回転域を使うシチュエーションはワインディングやサーキットなど限られていることでしょう。
一般的にプレミアムとレギュラーでは11円の価格差がありますので、料金ベースで燃費を考える(つまり100円で何km走れるか)と、プレミアムはレギュラーに比べて7%前後燃費が悪いということになります。
元々が同じエンジンで、圧縮比も同じなのですから日本導入に合わせてレギュラー化して欲しかったというのが正直な気持ちです。
FF車サスペンションのトレンドは、リヤはトーションビームなどの固定式サスにしてロール剛性を稼ぐ方向ですが、シビックは4輪独立懸架にこだわるサス設計が根付いています。
現行モデルもフロントがストラット、リヤがマルチリンクという4輪独立懸架です。サスペションストロークがしっかりとあるので、路面が荒れているような旧道のワインディングでもしっかりロードフォールディングしていきます。あらゆる速度域で路面に対してタイヤを垂直に設置させるようなセッティングですが、とくに高速域ではフォールディング性とともに乗り心地もいいものとなっています。
セダンに乗ることに抵抗を観じる人も多いでしょうが、燃料のことを考えるとセダンがもっともいい選択となるはずです。ベストはレギュラー仕様のハッチバックが登場することでしょう。
(文・写真:諸星陽一)
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