5月25日スバル新型「XV」の発売日、群馬県太田市にあるスバル群馬製作所本工場において、メディア向けの衝突試験見学会が行われました。
スバルといえばこれまでは、「クルマ好きのクルマ」というイメージでしたが、ここ最近では「アイサイト」のCMコピー「ぶつからないクルマ」というキャッチフレーズのおかげで、すっかり安全イメージが定着しています。しかも去年発売された新型「インプレッサ」、そして今回発売された新型「XV」においてJNCAPのすべてにおいて歴代最高得点を記録するなど、その期待は裏切られるどころか「交通事故ゼロ」に近づくべく、開発の手をゆるめません。
中でも日本の事故で多い歩行者や自転車の事故。「スバルグローバルプラットフォーム」でしっかりしたボディを確保し、乗員の保護を高めつつ、歩行者保護のために「歩行者エアバッグ」を搭載。
今回の見学会の目玉は全幅の40%を衝突させる「オフセット前突試験」。
スピードは64㎞/h。ダミー人形が運転席と助手席の後部座席に座った状態で車体をワイヤーで引っ張って衝突させます。
周囲の安全や確認作業が終わり、カウントダウンがはじまると緊張感が高まり、大きな音と共に、ドカン!
そして会場で聞いた言葉は、「壊れ方が綺麗」。確かにキャビンはしっかり残っているし、
ドアもしっかり開き、ボディ構造がしっかりしているのがわかります。
次は「歩行者エアバッグの展開試験」見学。エアバッグが展開し、しぼむまではわずか0.1秒。瞬きをしているうちに、終わってしまうような時間です。展開したエアバッグの匂いを嗅いでみると、漂白剤「ハイター」のようなにおいがしました。
ほかにも雪溜まりでの歩行者エアバッグの展開、ショッピングカートの衝突試験、水壕突入試験などの模様も見学しました。
そして翌日、横浜パシフィコで開催されていた「人とくるまのテクノロジー展2017」へ。ちょうどスバルインプレッサ/XVのゼネラルマネージャー 阿部一博氏による「安全と走りを追及した新型インプレッサ/XVの開発ストーリー」の講演が行われているとのこと。覗いてみると、すでに終わりかけで、会場からの質問に阿部さんが真摯に答えているところ。たとえば、スバルがマニアック路線から「みんなの(?)スバル」になったのは?という質問に対して「1990年代のスバルのどん底時代のように、どうぞ好きなものを買ってください、という考えではダメ。とにかく市場に出て行って、話を聞いたことをクルマに反映していった」と言っていました。そのうえで「お客様に喜んでもらうためにはどうしたらよいか」を考えた、とも。
確かに私も以前、「スバルのハンドルはペトッとする」と言ったところ、その次に登場したクルマでは「今度は大丈夫です!見てください!」と嬉しそうに開発の方から言われたことがあります。今回の「XV」でも。
開発の方々が聞いた話を持ち帰り、クルマに生かしている、それが「魅力的な商品」「魅力的なスバル」を作っています。
でもなにより、実はそれをまとめる阿部さんをはじめ吉永社長のリーダー力、人間力が実はスバルを変えた一番のポイントではないかと、質問に答える様子を見ながら思った私です。
(吉田 由美)