世界最高水準の高負荷容量と高速回転性能を実現し、駆動系の性能向上を支えるNTNの新開発軸受

軸受メーカーのNTNは、世界最高水準の高負荷容量と高速回転性能を実現した「自動車用ULTAGE(アルテージ)円すいころ軸受」を開発しました。

このULTAGEとは、究極を意味する【Ultimate】と、あらゆる場面での活躍を意味する【Stage】を組み合わせた造語で、同社が世界最高水準の性能をうたう新世代軸受のシリーズ総称ということです。

自動車用の円すいころ軸受は、CVT変速機やリア・デファレンシャルなどの高負荷がかかる動力伝達部に使用されていますが、エンジンの高出力化による負荷の増加やハウジングの軽量化に伴う偏荷重の増加で、高い荷重負荷能力が求められています。

同時に省燃費化と高効率のために低摩擦トルク、高速回転性能も必要とされており、円すいころ軸受が使用される環境はますます厳しくなっています。

今回、NTNが開発した「自動車用ULTAGE円すいころ軸受」は、大形の円すいころ軸受向けに開発された、転がり疲労寿命を最大化する円すいころ形状の最適設計技術を、小形シリーズ向けに適用することに成功しました。

具体的には、高負荷や偏荷重が作用しても転動体(ころ)と軌道輪(内外輪)の接触面圧を均一に形成、軸受の性能を最大化することが可能になりました。

この最適化設計により、従来の同等品と比べ負荷容量が1.3倍に増加し、軸受定格寿命は2.5倍以上に向上しています。同時に、ころと内輪及び保持器とのすべり接触部の形状を最適化することで許容回転速度が約10%向上し、世界最高水準の高負荷容量と高速回転性能が実現しています。

さらに、耐焼き付き性が要求される用途に向けて、同社独自の特殊熱処理加工を組み合わせて高い耐焼き付き性を備え、軸受定格寿命を従来品比で3.8倍以上に向上させた、過酷な潤滑条件にも対応できる高機能タイプも開発しています。

今後NTNでは、自動車用途にニーズの高い軸受外径150mm以下のサイズの小形円すいころ軸受を本開発品に置き換え、グローバルに拡販する計画です。

自動車の外観からは見えない軸受のような目立たない部品の性能向上が、新型車の高性能化に貢献しています。

(山内 博・画像:NTN)

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