ブリヂストンは、自社技術で生産された「グアユール」由来の天然ゴムを使用した最初のタイヤが完成した、と発表しました。
グユアールとは、その組織の中にゴム成分を含む米国南西部からメキシコ北部の乾燥地帯が原産の低木で、従来のバラゴムノキに代わる新たな天然ゴムの原料です。
ブリヂストングループは、パラゴムノキに代わる天然ゴムの研究を続けていますが、自社技術で生産されたグアユール由来の天然ゴムを使用した最初のタイヤが完成したことになります。今回作成したタイヤに使用した「グアユール」由来の天然ゴムは、アリゾナ州にあるグアユール研究施設を中心に、栽培から抽出精製までのすべての過程に同社グループの技術で得られたもの、ということです。
グアユールからゴムが作られるということ自体は新しい発見、発明ではないのですが、栽培からタイヤの製造までを一社で行ったことこれまでに例がない、とのことです。
グアユール由来の天然ゴムを使用した最初のタイヤが完成したことにより「再生可能資源の拡充・多様化」に向け、大きな一歩を踏み出したことになります。
現状では自動車タイヤ用天然ゴムは、パラゴムノキ由来のもので、その約9割が東南アジア地域に集中して栽培されています。このような天然ゴム生産地域の一極集中を緩和し、供給の安定化を図るために、同社グループではパラゴムノキに代わる新たな天然ゴム供給源の一つとして「グアユール」の研究開発を進めてきました。
素材を一種類、一箇所に集中させていると材料供給が政情、相場、天候などに一気に左右されるリスクが高く、違う種類の原料があったほうがいいという判断からのものです。また、パラゴムの木は植えてから収穫まで4〜6年くらいを要し25〜30年毎に植林するのに対し、グアユールは3年周期で収穫でき、収穫場所や量がフレキシブルに対応しやすいのも特徴です。
パラゴムノキとは異なり「グアユール」は乾燥地域で栽培できる植物であり、またその組織に含まれるゴム成分がパラゴムノキ由来の天然ゴムによく似た性質を持つことから、新たな天然ゴム供給源になるものと期待されています。
(文:山内 博 写真:小林和久、ブリヂストン)
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