ブリヂストンブースの真正面に飾られていたKTM X-BOW(クロスボウ)とは何者?【東京オートサロン2012】

ブリヂストンブース真正面にあったこのクルマ、全く新しいタイヤ印刷技術を適用したポテンザRE-11の紹介のために置かれていたのですが、説明員でこのクルマについて知っている人がいなかった(3人に訊いたけれど、答えられた人はいなかった)ため、興味があったのに素性がわからずムズムズした方もいらっしゃるでしょう。

日本人で初めて、そして最も多くX-BOWに試乗した私がご紹介いたします!

2輪車メーカーとしては知られた存在であるオーストリアのKTM社が、2007年のジュネーブショーでデビューさせた初の4輪スポーツカーがこのX-BOW(クロスボウ)。

レーシングコンストラクターとして有名なイタリアのダラーラ社との共作になるカーボンモノコックに、アウディ製2リッターTFSIエンジンとVW製マニュアルトランスミッションを組み合わせたピュアスポーツカー。ベーシックモデルの最高出力は177kW(240hp)、最大トルクは310N・m。0-100m加速は3.9秒と謳われています。ブレーキはイタリアの名門ブレンボ。車重が790キロしかないので、どんな走りをするのかを想像するだけでも好きな人にはたまらないでしょう。

展示してあったX-BOWは“R”の名を冠されたハイパワー版で、パワーとトルクがそれぞれ220Kw(300hp)、400N・mに増強されています。

デザインは、KTMの2輪車を手がけてきたオーストリアのキスカ社の作品。

フロントもリアもなにやら昆虫を想像させるものがあります。日頃はどこかに擬態してじっと息を潜めているのだけど、クルマ好きが前を通ると突然姿を現し、ドライバーをその気にさせるという感じ。

テーマカラーはオレンジ、キャッチフレーズは“READY TO RACE ?”。言い切りではなくドライバーに問いかけてくるところがニクい。乗り込んでイグニッションをオンにすると、メーターにこのメッセージが表示されるのですが、“Yes, Of course !!”と、心の中でクルマに答えスタートボタンを押すと、ブオンッという野太い音と共にアウディ製ターボエンジンが目を覚まします。ウインドディフレクターしかないフルオープンのため音がダイレクトに耳に届き、背中に伝わるエンジンの鼓動と相まって、すぐにでもアクセルを全開にしたくなります。

ちなみにこのタイヤですが、これまでのカラータイヤ技術とは異なる、全く新しい技術が使われているそうです。

これまでのホワイトリボンタイヤやホワイトレタータイヤは、変色を防ぎ耐久性を確保するために多くの白いゴムを採用していて、タイヤ質量も増える傾向にあったとのこと。

今回開発されたタイヤ印刷技術は、変色防止層の上に新規開発インクと保護層を印刷することで、タイヤ質量が増えることもなく、燃費を含めた環境に配慮しながら、タイヤをドレスアップする技術。つまり、ホワイトリボンやホワイトレターは白いゴムを乗せていたためその分の重量が増していたけれど、開発に成功した新しい手法は印刷のため、それがないということになります。

ブリヂストンでは、将来的にはユーザー自身がデザインしたオリジナルデザインや写真等をタイヤサイド部に印刷し、不要になった場合はデザインを落として、新たに印刷を施すサービスも検討しているそうです。

カラーリングイメージ紹介パネルとX-BOW
R。左からECO絵画、サイクルイメージ、スパイラルイメージ。装着されているのはスパイラルイメージのカラータイヤ。

X-BOWにもう一度会いたい人はこちらへ。
http://tsite.jp/daikanyama/
2月1日(水)から展示予定です!

X-BOW主要諸元:
寸法・重量:全長×全幅×全高(mm)3,738 × 1,920 × 1,205mm
乗車定員(名):2名
エンジン種類:直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ
総排気量(cc):1984cc
ボア×ストローク(mm):82.5 × 92.8mm
最高出力:177Kw(240hp)/5,500rpm [220Kw(300hp)/6,300rpm]
最大トルク:310Nm/2,000~ 5,000rpm[400Nm/3,300rpm]
駆動方式:後輪駆動
トランスミッション:6速マニュアル
ホイール: F:7.5 × 17 R: 9.5 × 18
タイヤサイズ(F/R): F:205/40 R17 R:235 [255] /40 [35] R18
サスペンション: F/R:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ: F:305mm VディスクR:262mm Vディスク
車両重量:790kg

(Autanacar)