プレス向けに開催される新車試乗会には、開発責任者である主査をはじめ、担当別で数多くのエンジニアの方々が参加されています。
メーカーによって部門の名称は変わりますが、デザインや製品(商品)企画、パワートレーンやシャーシ、設計、実験部の方まで幅広い方にお話を伺える貴重な機会であり、逆にプレス側も短時間の試乗ではありますが、感想などを伝える機会でもあります。
新車開発にはそれよりも何倍、何十倍、さらにサプライヤーも含めれば何百倍もの方々が携わっているのですが、その中でも女性の存在は少ないのが現実で、まさに男社会の縮図かもしれません。
もちろん、インテリアやカラーリング担当などに女性の方も少なくないですし、インポーターには数多くの商品企画者やローンチの担当者もいます。
しかし、新型ヴォクシー/ノアには女性の開発メンバーもいらっしゃいました。こうした記事タイトルでご紹介するのは、失礼にあたるかもしれないのを承知の上で、ご紹介させていただくのは、先に挙げた担当以外ではトヨタに限らずお目に掛かる機会がとても少ないから。
前置きが長くなりましたが、写真の長谷川 景子氏は「HVシステム開発統括部 企画総括室 主任」という肩書きで、入社以前から技術者になるのが目標だったそうです。
しかし子どもの時に「いつか原油が枯渇するかもしれない」と耳にし、技術者になるにはトラウマになっていたそう。そこで、発電関連の技術者がいいかなと、考えていたそうですが、初代プリウスの登場があり、入社以来ハイブリッド開発畑を歩んでいらっしゃいます。
新型ヴォクシー/ノアのハイブリッドはプリウスのシステムがベースですから、世代こそ異なりますが、きっかけとなった初代プリウスとの縁も感じさせます。
プリウスのハイブリッドシステムは完成度が高く、「システムそのものにはそれほど詰める余地はなかった」とのこと。
マツダのアクセラハイブリッドがプリウスと同じエンジン回転数で、しかも同じ出力でないと狙いどおりの燃費が出なかったという逸話には、同氏も「やはり」と思ったそうです。
新型ヴォクシー/ノアのハイブリッド化では、バッテリーの配置に最も注力されたそうで、ハイブリッドのバッテリーを横型に置き、できるだけ室内側に干渉しないようにすることでハイブリッドでも前後/左右のウォークスルーを可能にしています。なお、補機バッテリーはBMWのように荷室下に移行。
これによりハイブリッドでも居住性を大きく損なうことなく、ミニバンに求められる広さや快適性が確保されています。
今後、こういった機会で女性エンジニアにお目にかかるのが当たり前になるのはそう遠くないのかも知れません。
■待望のノア/ヴォクシー・ハイブリッドの走りは?【ノア/ヴォクシー試乗記01】
https://clicccar.com/2014/02/07/246188/
■ヴォクシー/ノアは全高を下げて成功するのか?【ノア/ヴォクシー試乗記04】
https://clicccar.com/2014/02/21/247204/
(塚田勝弘)