スバルの車載用ステレオカメラの開発は、1989年からといいますから、じつに24年前からスタートしていたことになります。他の部署の研究室を間借りして開発を進めるなど、苦難の道のりを経てスバルの看板技術のひとつに成長したわけですから、先行開発の鏡といえるかもしれません。
現在の「アイサイト」は、2010年に市販化されたver.2で、2014年には今回発表された次世代アイサイトを装着したニューモデルをリリースすると予告。車種はアナウンスされていませんが、スバルの顔である次期レガシィであることは間違いありません。
さて、アイサイト装着車ユーザーへの同社によるインタビューでは、96%が「満足・やや満足」で、次期購入車も「絶対アイサイトにしたい・できればアイサイトにしたい」が93%を占めているそうです。さらに、2割以上のユーザーが「アイサイト」の一次ブレーキ、もしくは二次ブレーキのお世話になっていて、ひやりとした経験があるとのこと。
次世代アイサイトには、新機能として今までの「走る」、「止まる」に加えて、「曲がる」という制御も可能としたことで、クルマの3つの基本性能の制御をある程度手中にして、同一車線内での自動運転支援を目指すとのことです。
次世代アイサイトは、カメラの画像がカラー化されて画素数も約4倍になり、従来よりも広角、望遠ともに約40%アップし、より広く遠くまで対象物を認識することが可能になっているのが特徴で、これらを活かした新機能をまとめてみると、
●レーンキープアシスト(車線中央維持と車線逸脱抑制)
●プリクラッシュブレーキの作動速度を30km/hから50km/hに向上(相対速度)
●認識範囲の拡大で早い段階から歩行者を認識し、制御が可能に
●全車速追従機能付クルーズコントロールの高性能化
●先行車のブレーキランプの点灯状態を検出し、従来よりも早めの減速
●AT誤後進抑制制御
●危険回避アシスト
などになっていますが、数が多いので、ここではまずレーンキープから。
車線中央維持は単に白線内を走行するだけでなく、文字どおり車線の中央を維持するように、ステアリングの自動操舵でドライバーの疲労軽減も狙ったもので、「全車速追従機能付クルーズコントロール(ACC)」の作動時で65km/hで作動します。
これはトルクベクタリングなどのブレーキ制御はなく、パワステの制御だけで行うもので、カーブでも同一車線内の中央を維持でき、ドライバーがハンドルを握っていないなど操作していない際はキャンセルされます。
また車線逸脱抑制は、高速道路などの自動車専用道路で車線からはみ出さないようにステアリングの操舵制御をするもので、白線を踏み出すと警報し、逸脱を防止する方向にステアリングに力を加えるもので、こちらは他のレーンキープと似た機能といえそうです。
(塚田勝弘)