決勝レースは、雨は上がったものの路面はたっぷりと濡れた状態で、スタートしました。
路面の水はけが良ければ、最新の透過路面であれば、雨が上がればスッと水が消えてしまいますが、しかし十勝スピードウェイの路面はそうではありませんでした。水は路面に残り、それはそう簡単に消える感じではありません。
DTECチーム・マスターワンにとって、それは望んでいた状況でした。
雨のレースは、76号車と坂本選手にとって、これまでも良い結果を得てきたからです。
スタートは、とても滑りやすい状況でした。水分だけでなく、路面温度も低く、タイヤのグリップが得られにくいのです。
これまで3戦連続でポールポジションを獲得していた山野選手は予選2位。コンスタントに好成績を出している阪口選手が初の予選1位となりました。
とくに山野選手はスタートが得意なのですが、今回のスタートではやや立ち上がりが遅く、しかし1位の阪口選手も遅かったので、この2台に頭を抑えられる形で、スタートしたマシンがダンゴになって1コーナーへと向かっていきます。
この状況を生かしたのが、坂本選手でした。スタートで1台パスした後、混雑して速度が落ちてしまった1コーナーへ、ズバッと切り込んでいきました。その結果、2コーナーへと向かう段階で、スタートの15位から9位へとジャンプアップしたのです。
次の周に、前戦で優勝した蒲生選手にオーバーテイクされ、10位になってしまうものの、そこからトップと同じくらいの速いラップタイムで、追い上げていきます。3周目に9位、5周目に8位、そして10周目に7位へと駆け昇っていきました。
残念なことに、6位のマシンとの差は大きく、1周2秒近く差を削っていきましたが、追いつきませんでした。入賞まで、あと一歩だったのです。
レースはスタートからトップに立った山野選手が独走。
5周目には、いつものように2位以下を5秒以上も引き離します。しかし、このレースに初参戦となった佐々木孝太選手が2位へと上がり、そこから追い上げを開始します。再び降り出した雨の中、佐々木選手が山野選手へと迫っていきます。
しかし結局追いつくことはできず、1位が山野選手、2位が佐々木選手、そして3位には前戦で失格となった富澤選手が入りました。
76号車のペースも上位陣と変わりません。坂本選手がそれらの選手の中に割って入っても不思議ではない速さを、再び見せてくれました。表彰台はもうすぐ、見えるところにあるようです。
(岡村神弥)