三菱アウトランダーPHEVがリコール届出、生産再開は8月下旬の見通し

2013年3月27日にリチウムイオンバッテリーなどの不具合発生を公表していた『アウトランダーPHEV』、『i-MiEV』、『MINICAB-MiEV』ですが、問題となっていたリチウムイオンバッテリーの原因解明・対策が行なわれ、国土交通省にリコールを届け出たことが発表されました。

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このバッテリーに関する不具合は、すでに4月24日に公表されているように、サプライヤー(リチウムエナジージャパン)の電池セル製造ラインに昨年11月から導入されたスクリーニング検査において、誤って落下させるなどの過大な衝撃が加えられ、内部部品の一部が変形したり金属片が発生したりした不良品が車両に搭載され、外部充電中にショート(内部短絡)を起こしたものです。

 このスクリーニング検査工程では、電池セルを回転させながら、いろいろな方向に衝撃を与え、電池セル内の不純物(銅異物)を正極側に移動・エレメント内に侵入させ溶解させる工程(タッピング・シェイク工程)と、更に溶解せず残った不純物(銅異物)を正極板に侵入しない場所に移動させる工程(不活性化工程)からなるということです。そして、この検査を行なう際、机上から検査機に移動するときに誤って落下していたということです。その高さ(110cm)で、電池セルを落下させると、内部部品のエレメントが移動し、接触を防止するセパレーターが破損し、集電体とエレメントの隙間が狭まった不良品が出てしまうということも確認されたといいます。

そうしたトラブルの再発防止策が確認できたことで、今回のリコール届出になったというわけです。リコール作業は6月中旬から順次、開始出来る見通しとのことです。また、通常のリコール作業はディーラーなどの整備工場で行なうものですが、今回のリコールについては、特別に、『アウトランダーPHEV』は名古屋製作所で、『i-MiEV』『MINICAB-MiEV』は水島製作所で、それぞれ集中作業することも発表されています。

さらに、『アウトランダーPHEV』については、現時点で生産が一時休止になっていますが、リコール作業を優先しつつ、2013年8月下旬には生産再開を目指すということ。単に燃費性能に優れたプラグインハイブリッド電気自動車というだけでなく、大容量バッテリー&発電機として出先で活躍するという新しいアウトドアカーライフの提案をしているアウトランダーPHEV。

三菱自動車工業 益子修社長の名前で出された発表においても『PHEVについてリコールを届け出ておりますが、得られた知見を今後の商品開発に役立て、必ずや世界に通用する技術に育て上げて参る所存ですので、引き続きご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。』とあるように、新テクノロジーのポイントとなるバッテリーのトラブルをクリアすることで、メーカー・サプライヤーともども便利で安全なクルマへを実現するための技術力を高めることを期待したいものです。

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(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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