「アベノミクス」に浮かれる日本経済ですが、主要自動車メーカーがまとめた2013年度の1‐3月国内販売累計によると、8社全体で142万台と前年同期比で ‐10.2%減少しています。
その中身をさらに詳しく見ると、1‐3月に於ける国内販売累計の内訳はトヨタが‐15%(‐16%)、ホンダが‐11.7%(‐9.1%)、日産が‐5.7%(‐13.6%)、MAZDAが‐3.1%(‐11.4%)、スバルが‐13.6%(‐19.4%)、ダイハツが‐10.6%(‐11.2%)、スズキが‐0.7%(‐2.4%)、三菱が‐13.4%(‐15.8%)となっています。
※( )内の数値は3月単月
また2013年3月単月の販売台数比較でも61.1万台と同‐12.3%の販売減。
こうした販売減少はエコカー補助金が終了した昨年9月以降に顕著に現れており、ほぼ各社共7ヶ月連続で前年を下回る結果となっています。
とは言え、経済界の上昇気運に対して国内自動車販売が減少しているというのは今ひとつピンと来ないところ。
そこで、数値の羅列だけでは実際の販売イメージが掴み難いので、もう少し遡って2012年1月から2013年3月末までの長いスパンで自動車8社の国内販売台数推移を「見える化」してみました。
販売店が年度末決算期である3月を目標に各社一斉に販売に力を入れることから、グラフ上でも2012年3月と同様、2013年3月にもピークが現れており、そうした観点から言えば、前年よりも確かにやや販売量が少ないものの、販売推移自体に特異性は見られません。
続いてトヨタの国内販売推移を事例に、前年度との違いを比較してみましょう。グラフの赤色の実線が2012年度、2点鎖線が2011年度のトヨタの国内販売実績を示しています。
実はここに「前年同期比」で販売減となるカラクリが隠されています。
と言うのも、2011年3月の震災でサプライチェーンが寸断されて4月に大きく生産が落ち込んだ後、生産が回復した2011年8月以降から年末にかけて各社が普段以上のペースで生産巻き返しを図った経緯が有るのです。
その部分と2012年度を機械的に比較してしまうと、折角の企業努力も見劣りする結果に。
このように多くの場合、「前年比○○%の販売減」といった具合に直近データで単純比較するケースが多く、事実ながらも背景が考慮されていない為に、何やらこの先どんどん自動車販売が下降線を辿って行くような印象を与えがち。
例えば2012年4月~2013年3月の期間について前年同期比で比較すると、トヨタの場合+14%、8社全体でも+9.5%の販売増という間逆の結果となります。
つまり、どの期間で区切って販売実績を比較するかでその印象は大きく変わるという訳です。
例年の傾向から推定すれば、4月に一旦販売が底付きした後、年央から年末にかけてアベノミクス効果や消費税アップまでの駆け込み需要等により、販売が上向く可能性も有り、2013年4月以降でどこまで販売を伸ばせるかが大いに注目されます。
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