今やスポーツカーと言えどもミッションの主流はATやDCTとなり、MT車愛好派には何やら物足りなく感じることもありますが、2012年4月にトヨタがMT仕様のスポーツカー「トヨタ86」をAT仕様と共に発売したことがきっかけで、輸入車でもMT仕様が見直される傾向にあるようです。
と言うのも、「メルセデスベンツが21年ぶりにMT仕様のオープンカーを発売 !」でお伝えしたとおり、21年ぶりとなるMT仕様車をメルセデスベンツ日本が「SLKクラス」にラインナップ、2月20日に発売しました。
勿論、従来よりBMWの1シリーズや3シリーズ、MINIなどでもMT仕様車が日本へ導入されている訳ですが、エントリーグレードやハイエンドモデルだったりで、ラインナップ的には「一般ユーザー」をターゲットにしているとは言い難い面がありました。
社団法人日本自動車販売協会連合会によれば、日本における乗用車のAT比率は2003年に既に95%に達しているようで、1991年の「AT限定免許」創設以来、運転操作のし易さに加えて、AT機構の改良による燃費向上などが大きく寄与して普及が加速。
国産車では廉価グレードやマツダ ロードスター、RX-8、ダイハツのコペン(生産完了)、HVのホンダ CR-Zなど、一部のスポーツ志向の車種を除けばMTの設定が無いモデルが大半で、現在では軽自動車ですらATやCVTが常識化しているのが実情。
トヨタ86は発売以降、2500台/月以上と月間販売計画台数を大きく上回るペースで推移。発売直後のMT車受注率は60%、スバルBRZでは70%に達したと言います。また、ホンダCR-Zも、全受注のうちの約25%がMT仕様とか。
クラッチミートや的確なシフトチェンジなどMT車特有の操作は、高度経済成長時代の若者にとって、同乗者に運転技量を見せつける格好のアイテムの一つでもあった訳ですが、時代の流れや体力の衰えと共にやがてAT派へ移行することに。
そんなかつてMTでならした「潜在的MT派」に火をつけたのがトヨタ86/BRZだった訳です。
こうしたMT仕様のスポーツカーには冒頭の「メルセデスベンツ SLK」に限らず、2011年2月に導入されたルノーのFFスポーツ、メガーヌ・スポール(265ps/36.7kgm) など、価格面でも実に魅力的(385万円)な本格派モデルも存在します。
最近では教習所のMT免許受講率が30%にまで落ち込んでいるとの情報もあり、若年層のMT車への関心が希薄になりつつある中、AT任せで無く「自身で操る愉しさ」を満喫出来るMT車だけが持つ魅力を「かつての若者」が後世に伝えていく必要があるのかもしれません。
国産/輸入車、FF/FR車を問わず、MT仕様の魅力的なスポーツカーが今後も引き続き登場することを期待したいものです。
〔関連記事〕
・トヨタ86の弟分1.6リッタークラスのスポーツカー発売か!?
https://clicccar.com/2013/03/18/215445/
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https://clicccar.com/2013/02/25/213775/
■メルセデスベンツ「SLK200 Blue EFFICIENCY MT」 Webサイト
http://www.mercedes-benz.co.jp/passenger/car_lineup/slk-class/index.html
■トヨタ86 Webサイト
http://toyota.jp/86/
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