「メイドイン・ジャパン」でTVドラマ化されるなど、巨額赤字を抱えるまでに至った大手家電業界。自らの首を締める元となったのが皮肉にも日本の技術力を活かした薄型テレビでした。
これまで家電産業を牽引して来たテレビ事業でしたが、韓国の「サムスン電子」や「LG電子」などの台頭で価格面で太刀打ち出来ず、不採算事業と化し、業績の足を引っ張る要因に。
いち早く国内生産の薄型テレビに未来が無いと読んだ日立は液晶パネル生産から撤退。2012年8月、56年間に渡ったテレビの国内生産にも終止符を打って現在は海外企業からのOEM調達に切り替えています。
東芝も2012年3月に500億円の赤字を計上したことでテレビの国内生産から撤退。台湾メーカー等への生産委託に切り替えました。
シャープは2009年に世界最大の液晶パネル工場を建設したことが過剰投資に繋がり経営を圧迫。社内売上げの中心である液晶テレビ事業から撤退する訳にも行かず、4500億円の赤字を計上。結局、2000人規模のリストラに踏み切りました。
パナソニックの場合は薄型テレビやデジタル製品の不振に加えて2009年の同業企業の買収などが影響して7650億円の巨額赤字を計上。2013年3月までの3年間で7万人という巨大規模のリストラを展開中。
こうした状況の中、パナソニックも遂にテレビ事業からの脱却を決意。同社の津賀社長が2013年1月初頭にラスベガスで開催されたCES(国際家電見本市)の基調講演で、競争の激しい家電事業の比率を縮小する一方、自動車事業の拡大を宣言。
早速、CESでGMとの業務提携を発表。既に両社はスマートフォンによる通信やカーナビを連携させた「MyLink」など、新たな車載システムを共同開発しているようで、今後はこうした車載情報システムの開発を加速させるようです。
CESでは傘下の子会社(三洋電機)のEV用車載バッテリーや非接触充電システム、航空機の機内エンターテイメントシステムなどを出展、同社の技術力をアピール。
薄型テレビなどのデジタル家電は新技術を投入しても汎用化が進むと必ず市場価格が低下し、韓国メーカーに価格面で勝負できない為、今回の決断となった模様。
同社の家電部門の売上高は現在では全体の1/3程度となっているようで、今後は従来の一般消費者向け事業に依存した経営体質から脱却を図り、企業向け事業を強化することで収益の改善に繋げる方針と言います。
今後日本でもEVやFCVなど、更にエレクトロニクス化が進む自動車産業への家電メーカー参入が加速しそうな状況になって来ました。
■パナソニック CES出展関連 Webサイト
http://panasonic.co.jp/company/philosophy/vision/ces2013/
【写真ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】https://clicccar.com/?p=211927
【2020年7月2日追記】
CESの現在のホームページアドレスは以下となっています。
https://ces.tech/