日産と佐賀県が電気自動車でコラボレーション

日産リーフと急速充電器
日産リーフと急速充電器

4月20日、日産は佐賀県、ファミリーマートと「24時間EVユビキタスネットワーク」を核とした電気自動車普及プロジェクトを連携することを締結しました。この長ったらしい名前のプロジェクト、電気自動車促進に向けて実はかなり先進的な取り組みなのです。

走行距離が普及のネックになっているといわれる電気自動車で急速充電器の配備は普及促進に向けては無くてはならないと言われていましたが、無作為にあちこち作ったところで「運営管理は?」「電気代コストは?」などという問題にぶち当たるのは自明の理。運営管理問題において多くの急速充電器が夜間の充電が出来ないですし、電気代コストに当たっては料金徴収がとりあえず出来ない状況なので設置者の負担か税金による補助というのが一般的なのです。

そこで今回のプロジェクトでは佐賀県が電気自動車普及の施策を講じ、日産が必要な充電器を提供する、とここまではどこにでもありそうな普及策ですが、そこにファミリーマートが用地提供と充電器の運営管理を行い利用料金を徴収する仕組みを作るというところが新しいのです。

日産リーフと急速充電器
日産リーフと急速充電器

急速充電器がかなり急速に数多く設置されている昨今ですが、その90%は自動車ディーラーや役所の敷地内にあるため夜8時から朝9時まで使用することが出来ない。夜間使用が出来るのはせいぜい高速道路にある急速充電器くらい。そこでコンビニに設置することで急速充電器を24時間運用しようという試みです。

また、今現在はまだ電気自動車が少ないので補助金などで急速充電はまかなえるかもしれませんが、これから何万台規模で増えてくると急速充電1回あたり約500円のコストは自治体財政を圧迫しかねません。今から急速充電を事業として機能させる仕組みに取り組むということは、産業の育成と環境政策にとって非常に有効と言えます。

ユビキタスという言葉は「いつでも、どこでも、だれでも」が恩恵を受けることができる環境・技術のことをいいます。この環境を整えることが電気自動車普及の大前提であるといえます。

余談ですが、先日「自然エネルギー財団」の創設を発表したソフトバンク社長の孫正義氏も、これからのエネルギー事情を考えると電気自動車にシフトせざるを得ない記者会見でお話されていました。原発があんなことになって電力事情が問題視される今だからこそ、化石燃料は発電に回し、そこから得られた電気で移動を行うべきである、とも考えます。

そういった観点からも電気自動車のユビキタスネットワーク構築は急務と言えるでしょう。

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
続きを見る
閉じる