BMWのハイパフォーマンス・ブランドといえる「M」。
現在はBMW M GmbHという組織ですが、もともとはBMWのモータースポーツ活動を担うBMWモータースポーツGmbHという名前で始まったということです。そのBMWモータースポーツGmbHがスタートしたのが1972年5月1日ということで、つまりBMW Mは記念すべき40周年というわけなのです。
その区切りの年に、BMWがMモデルを整理していますので、ここで紹介します。
1978: M1
最初に「M」の名前を冠したミッドシップスポーツカー『M1』がロードゴーイングカーとしてのMのスタートです。もともとはランボルギーニと共同開発したシャシーを使う予定だったといいますが、結果的にはBMW独自の企画となったそうです。市販モデルの最高出力は277馬力、レース仕様では470馬力に達したといいます。
1984: M5 and M635CSi
『M1』譲りのエンジンを搭載したのが最初の『M5』であり、また『M635CSi』です。この4バルブ直列6気筒エンジンは286馬力を発生したそうです。
1986: M3
レースに、ラリーにというオールマイティなモータースポーツでの活躍はもとより、販売台数も17,970台と”もっとも成功したツーリングカー”とBMW自身が評しているのが初代M3です。エンジンはスタンダードが2.3リッター、のちに2.5リッターバージョン(スポーツエボリューション)が追加されました。
1988: M5
スポーツカーというよりはサルーンとしてのキャラクターが強い2代目のM5。最終的には340馬力の3.8リッター直列6気筒エンジンを積んだということです。
1992: M3
より洗練された2代目M3は、ついに6気筒エンジンを搭載。前期は3.0リッター(295馬力)で、後期は3.2リッター(321馬力)となっています。また、このモデルではマニュアルトランスミッションをベースとした2ペダル「SMG」も追加されています。ちなみに、BMWモータースポーツGmbHがBMW M GmbHに変わったのは、1993年8月1日のことだそうです。
1997:M roadster and M coupé
オープン&クーペ2シーターのZ3に、2代目M3と共通の3.2リッターエンジンを積んだのが、MロードスターとMクーペです。
1998: M5
3代目となるM5は、ついにBMWの代名詞的パワーユニットの直列6気筒と別れ、400馬力・500N.mを発揮するV型8気筒エンジンを搭載、6速マニュアルトランスミッションのみと組み合わせたのも、BMWらしいといえそうです。
2000: M3
エンジンは熟成と発展、シャシー系のレベルアップで速さを手に入れたのが3代目M3。エンジンは、343馬力・365 N.mのスペックを誇りました。
2003: M3 CSL
“Coupé Sport Lightweight”の頭文字をつないだ「CSL」という名前を与えられたM3の発展的モデル、カーボン製ドアパネルなどが、そうした軽量化への強い意思を感じさせます。エンジン出力も360馬力へとアップされました。前後して、アメリカでのレース用に4.0リッターV8エンジンを搭載したM3 GTRも登場しています。
2004: M5 and M6
21世紀になって新登場したM5とM6という2台のMモデルにはV10エンジンが与えられました。5.0リッターから最高出力507馬力、最大トルク520N.mを発生していました。
この後もMモデルの登場は続きます。日本のレースでもおなじみの4.4リッタ-V8エンジンを積んだZ4。そしてM3も4代目となった際に420馬力の4.0リッターV8へと心臓部をアップグレードしています。
その後、ガソリンターボエンジンへシフトしていきますが、40年間を振り返ったレポートの最後には「Mは、ディーゼルになる」という言葉が書かれています。
運動性能の追求だけでなく、環境性能にも配慮しなければいけない昨今、BMW Mの心臓部として直列6気筒・381馬力のディーゼル”トリプル”ターボエンジンが次世代モデルに使われることになるだろう、ということです。このディーゼルターボエンジンを積んだ「M50d」ラインが主力になっていくのでしょうか。
(山本晋也)