Mの歴史が40年、BMWが選ぶ10の年、13のモデル

BMWのハイパフォーマンス・ブランドといえる「M」。

現在はBMW M GmbHという組織ですが、もともとはBMWのモータースポーツ活動を担うBMWモータースポーツGmbHという名前で始まったということです。そのBMWモータースポーツGmbHがスタートしたのが1972年5月1日ということで、つまりBMW Mは記念すべき40周年というわけなのです。

その区切りの年に、BMWがMモデルを整理していますので、ここで紹介します。

 1978: M1

最初に「M」の名前を冠したミッドシップスポーツカー『M1』がロードゴーイングカーとしてのMのスタートです。もともとはランボルギーニと共同開発したシャシーを使う予定だったといいますが、結果的にはBMW独自の企画となったそうです。市販モデルの最高出力は277馬力、レース仕様では470馬力に達したといいます。

1984: M5 and M635CSi

 

『M1』譲りのエンジンを搭載したのが最初の『M5』であり、また『M635CSi』です。この4バルブ直列6気筒エンジンは286馬力を発生したそうです。

1986: M3

レースに、ラリーにというオールマイティなモータースポーツでの活躍はもとより、販売台数も17,970台と”もっとも成功したツーリングカー”とBMW自身が評しているのが初代M3です。エンジンはスタンダードが2.3リッター、のちに2.5リッターバージョン(スポーツエボリューション)が追加されました。

1988: M5

スポーツカーというよりはサルーンとしてのキャラクターが強い2代目のM5。最終的には340馬力の3.8リッター直列6気筒エンジンを積んだということです。

1992: M3

より洗練された2代目M3は、ついに6気筒エンジンを搭載。前期は3.0リッター(295馬力)で、後期は3.2リッター(321馬力)となっています。また、このモデルではマニュアルトランスミッションをベースとした2ペダル「SMG」も追加されています。ちなみに、BMWモータースポーツGmbHがBMW M GmbHに変わったのは、1993年8月1日のことだそうです。

1997:M roadster and M coupé

 

オープン&クーペ2シーターのZ3に、2代目M3と共通の3.2リッターエンジンを積んだのが、MロードスターとMクーペです。

1998: M5

3代目となるM5は、ついにBMWの代名詞的パワーユニットの直列6気筒と別れ、400馬力・500N.mを発揮するV型8気筒エンジンを搭載、6速マニュアルトランスミッションのみと組み合わせたのも、BMWらしいといえそうです。

2000: M3

エンジンは熟成と発展、シャシー系のレベルアップで速さを手に入れたのが3代目M3。エンジンは、343馬力・365 N.mのスペックを誇りました。

2003: M3 CSL

“Coupé Sport Lightweight”の頭文字をつないだ「CSL」という名前を与えられたM3の発展的モデル、カーボン製ドアパネルなどが、そうした軽量化への強い意思を感じさせます。エンジン出力も360馬力へとアップされました。前後して、アメリカでのレース用に4.0リッターV8エンジンを搭載したM3 GTRも登場しています。

2004: M5 and M6

 

21世紀になって新登場したM5とM6という2台のMモデルにはV10エンジンが与えられました。5.0リッターから最高出力507馬力、最大トルク520N.mを発生していました。

この後もMモデルの登場は続きます。日本のレースでもおなじみの4.4リッタ-V8エンジンを積んだZ4。そしてM3も4代目となった際に420馬力の4.0リッターV8へと心臓部をアップグレードしています。

その後、ガソリンターボエンジンへシフトしていきますが、40年間を振り返ったレポートの最後には「Mは、ディーゼルになる」という言葉が書かれています。

運動性能の追求だけでなく、環境性能にも配慮しなければいけない昨今、BMW Mの心臓部として直列6気筒・381馬力のディーゼル”トリプル”ターボエンジンが次世代モデルに使われることになるだろう、ということです。このディーゼルターボエンジンを積んだ「M50d」ラインが主力になっていくのでしょうか。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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