ラリーのもうひとつのお楽しみ「リエゾン区間」、城下町の恵那岩村は映えスポットで大人気!【フォーラムエイト・ラリージャパン2023】

■日常の中に非日常が現れるリエゾン区間

FORUM8 RALLY JAPAN 2023(以下、ラリージャパン2023)に限らず、あらゆるラリーではスペシャルステージ(SS)と呼ばれるタイム計測を行う区間と、それをつなぐ移動区間であるリエゾン区間が設けられます。

豊田スタジアム横のリエゾン
豊田スタジアム横のリエゾン

SSは公道を完全に封鎖して競技のタイム計測が行われますが、リエゾン区間は一般道を他の車と一緒に、道路交通法などの法規を遵守して走行します。なので、軽トラや路線バスに挟まれて走行するRALLY1マシンというのを見かけることがあるのです。

TGR WRTの勝田貴元選手のマシン
TGR WRTの勝田貴元選手のマシン

ラリージャパン2023最終日である11月19日(日)では、そのリエゾン区間自体をイベントとして楽しむという催しが行われました。


●恵那 岩村城下町のリエゾンイベント

岐阜県恵那市の中心部から車で20分、中央本線恵那駅から明知鉄道で30分の場所に位置する城下町、岩村。

岩村城下町の様子
岩村城下町の様子

戦国時代に翻弄されながらも、領民を守り抜いたとして語り継がれる「おつやの方」が、女城主として岩村城で采配を振るった、という歴史がある恵那市岩村地域。城下町の古い町並みが今も残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

その岩村城下町の岩村本通りがリエゾンイベントの会場となっていました。江戸時代以前から続く古い街並みの中を最新のラリーマシンがゆっくりと走り抜けていく様は、まさに非日常の相乗効果。今風に言えば「映え(バエ)」となる風景です。

TGR WRTの勝田貴元選手のマシン
TGR WRTの勝田貴元選手のマシン

この風景の中でのラリーマシンをひと目見ようと、沿道には多くの観客が訪れました。また他のリエゾン区間ではあまり見かけない海外メディアの方々も、この岩村では数多く集まり写真や動画を撮りまくっています。

岩村本通りでの岩村城女太鼓
岩村本通りでの岩村城女太鼓

また地元のテレビ局もこの様子を収めようと、呉服店の前で和服で応援する方々を撮影。とにかく、どこでどう撮っても映えてしまう希有なリエゾン区間です。

岩村本通りのリエゾンを走る村田・梅本組のGRヤリス
岩村本通りのリエゾンを走る村田・梅本まどか組のGRヤリス

またパブリックビューイングも行われ、大きなモニターにはリアルタイムでラリーの状況が映し出されていたのも嬉しいポイント。そして、そのモニターの前に展示されている車にも注目!

岩村本通りのパブリックビューイングとスタリオン
岩村本通りのパブリックビューイングとスタリオン

これは、東京オートサロン2017に「中日本自動車大学校」が出展した、D1GPに向けたマシンで「NAC スタリオン SPEC-D」と言います。

外装はスタリオンですが、メカニズムはエンジン、駆動系、サスペンションには日産スカイラインGT-Rのものが入っているとのこと。お話をうかがうと、多分BNR32のものではないか、とのことでした。

こういった街並みに置かれるスタリオンも、かつてはラリーマシンとしても開発された経歴もあり、映えな空間作りに一役買っているようです。

clicccarでもお馴染みの国沢光宏さんのルノー
クリッカーでもお馴染みの国沢光宏さんのルノー

いかにも和風なシーンを取り入れ、なおかつ経済効果も発揮される素晴らしい試みの場所として世界に発信された岩村城下町。ここでのリエゾンイベントは、次回開催でも盛り上がることでしょう。

(写真・文:松永 和浩

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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