ホンダ「フリード」デビュー。8人乗れて180.6万円の低価格、扱いやすいサイズで高い人気を獲得【今日は何の日?5月29日】

■ファミリー層から圧倒的な支持を得たコンパクトな5ナンバーミニバン

2008年に登場した5ナンバーミニバンのフリード
2008年に登場した5ナンバーミニバンのフリード

2008(平成20)年5月29日、ホンダからコンパクトミニバン「フリード」がデビューしました。

フリードは「モビリオ」の後継モデルであり、ホンダの特徴である低床・低重心を採用した、人気の「ステップワゴン」より一回りコンパクトな5ナンバーミニバンです。


●フリードの先代は、オデッセイよりひと回り小さいモビリオ

フリードの先代にあたるモビリオがデビューしたのは、2001年のこと。当時は、1994年デビューの「オデッセイ」が火付け役となったミニバンブームが起こり、ホンダは2代目オデッセイ(2000年)に続いてひと回りコンパクトなモビリオを登場させたのです。

2001年にデビューしたフリードの先代にあたるモビリオ
2001年にデビューしたフリードの先代にあたるモビリオ

モビリオは、「フィット」と同じグローバルスモールプラットホームを使って、燃料タンクを車体中央のフロントシートの下に配置して、全長4m程度の小さなボディに3列シートを配置。ボクシーなスタイリングと大きなウインドウ、ショートノーズに大型ヘッドライトのフロントフェイスが特徴的でした。

パワートレインは、1.5L直4 SOHCエンジンおよび1.5L直4 SOHC VTECエンジンと、ホンダマチックCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意されました。

モビリオは、大ヒットにはなりませんでしたが、堅調な販売を続けて、2008年にフリードに後を任せる形で生産を終えたのです。

●コンパクトながら多彩なシートアレンジが魅力のフリード登場

フリードのリアビュー
フリードのリアビュー

フリードは、モビリオのボクシーなスタイリングから、全長をやや長くしてスタイリッシュに変貌。“フリーライフ・クリエイション”をコンセプトに、ホンダ独自の低床・低重心技術を採用し、ゆとりある室内空間とライフスタイルに合わせた自由な使い方ができるコンパクトなミニバンです。

フリードのシートアレンジ
フリードのシートアレンジ

引き締まったフロントフェイス、スムーズな乗降と利便性に優れた両側スライドドアに加え、クラス初の2列目キャプテンシートを採用した“7人乗り仕様“とクラス初の”8人乗り仕様“など、多彩なシートアレンジが大きな魅力でした。

パワートレインは、1.5L直4 DOHC i-VTECエンジンとCVTおよび5ATの組み合わせで、ミニバンながら力強い走りと低燃費を実現。駆動方式は、FFとフルタイム4WDが用意されました。

コンパクトながら自由度が高く運転しやすいフリードは、3列8人乗車のFF仕様が180.6万円(G-Lパッケージ)とリーズナブルな価格で発売され、約1ヶ月で約20,000台を受注するなど、20代~40代の子育て世代のファミリー層から圧倒的な支持を受け、高い人気を獲得したのです。

●5ナンバーミニバンのパイオニア「ステップワゴン」と「フリード」との違い

5ナンバーミニバンのパイオニアは、1996年に登場した「ステップワゴン」です。

2005年に登場した3代目ステップワゴン
2005年に登場した3代目ステップワゴン

ステップワゴンは、シビックをベースにしたボクシーなスタイリングのミニバン。フリードに比べて、大きな排気量の2.0Lのエンジンを搭載し、ボディもひと回り大きい、5ナンバーながら多人数が楽しめるのが特徴。発売から3年間、ミニバン首位を独走する大ヒットを記録しました。

しかし、その後はトヨタの「ヴォクシー/ノア」や日産自動車「セレナ」など、多くのライバルが登場し、先行して登場した一台だけの独占的勢いは減速。

そして現在の2022年デビューの6代目ステップワゴンは3ナンバーになりましたが、5ナンバーであった5代目までステップワゴンは、自社のフリードが活躍していることもあり、これら4モデルの後塵を拝して苦戦していたのです。


5ナンバーミニバンでも、ステップワゴンのような広い室内空間を選ぶか、フリードのような扱いやすさを選ぶかは、用途や家族構成によって決まってくるとは思われますが、悩みどころでしょう。とは言え物価高騰で厳しい生活環境の中では、なにより低価格で燃費に優れるというフリードの方が、ファミリカーとして人気があるようです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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