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■新生マツダのブランドメッセージ“Zoom-Zoom”第1弾
2002(平成14)年5月20日、マツダからカペラの後継「アテンザ」が発売されました。
アテンザは、走る歓びを追求するマツダの新しいブランドメッセージ“Zoom-Zoom”を具現化した第1弾として、マツダ再生をけん引したグローバルモデルです。
●マツダ再生のための“Zoom-Zoom”戦略
“作れば売れる”バブル絶頂期に、自動車メーカーは販売拡大を狙って販売網の多チャンネル化を進め、マツダもそれまでの3チャンネルから1989年に5チャンネル体制を導入しました(マツダ、マツダオート、オートラマ、ユーノス、オートザム)。
しかし、規模の大きくないマツダにとっては、5つの販売チャンネルを維持するための車種展開の負担は大きく、目論見に反して販売は伸びずシェアは落ち込みました。さらに、バブル崩壊が追い打ちをかけたため、マツダは経営危機に陥り、1996年ついにフォード傘下に収まることになったのです。
フォードから派遣された外国人社長のもとで、経営改革と強力な商品戦略を策定し、2001年10月の東京モーターショーで発表された新しいブランドメッセージ“Zoom-Zoom”によって、再生の狼煙が上げられました。これは「走る歓びを追求」したマツダらしいクルマづくりを指します。
翌2002年に、“Zoom-Zoom”を象徴する第1弾としてデビューしたのが、アテンザだったのです。
●新生マツダの先陣を切って登場したアテンザ
ミドルクラスのセダンとして登場したアテンザは、カペラの後継ですが、プラットフォームからエンジンまですべてが一新された新型モデルです。
精悍でスポーティなフォルムに、4ドアセダン/5ドアハッチバック/スポーツワゴンの3種のボディバリエーションを設定。パワートレインは、2.0L/2.3Lの新開発アルミ製直4 DOHC エンジンと、4速/5速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式は基本FFですが、電子制御フルタイム4WDも用意されました。
足回りについては、フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクのサスペンションを組み合わせ、優れた操縦安定性と快適な乗り心地によって、“Zoom-Zoom”を体現したのです。
発売1ヶ月で7,500台を受注して好調なスタートをきり、海外でも「Mazda6」として高い評価を受けました。ヒットモデルとしてマイナーチェンジをしながら、2006年には生産台数100万台を達成。これは、当時のマツダの100万台達成の最短記録でした。
●次々と続いた“Zoom-Zoom”スピリットのモデル
アテンザに続いて走る歓びを追求したモデルが、次々とデビューしました。
アテンザから3ヶ月遅れの2002年8月には、バブル崩壊時の救世主となった「デミオ」の2代目がデビュー。
発売1ヶ月で15,000台と好調に滑り出し、初代から10年余りで100万台を達成。翌2003年には、ファミリアの後継にあたるコンパクトスポーツ「アクセラ」がデビュー、「Mazda3」の車名で販売されて特に海外で人気を獲得しました。
さらに、本格的ミニバンに変貌した2代目「プレマシー」(2005年~)、進化した3代目「ロードスター」(2005年~)、スポーツカーの発想を取り入れた3代目「MPV」(2006年~)、新ジャンルのクロスオーバーSUV「CX-7」(2006年~)と、勢いのある人気モデルの新車攻勢によって、復活した新生マツダの勢いをさらに加速させたのでした。
アテンザは、マツダの再生をけん引し、低迷したマツダの救世主となった貴重なモデルです。そのベースになった“Zoom-Zoom”に続いて、“サステイナブルZoom-Zoom”が策定され、それを具現化する手段としてSKYACTIVという革新的な技術が誕生したのです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)