“リフトアップ”されたトヨタ・クラウンクロスオーバーは“ローダウン”もイケる!?

■“リフトアップ”で生まれ変わった16代目クラウン

4タイプのバリエーションを持つグローバルモデルへと進化したトヨタ・16代目クラウン。

トヨタ クラウン「クロスオーバー」(現行仕様)
トヨタ クラウン「クロスオーバー」(現行仕様)

先陣を切って2022年9月に発売された「クロスオーバー」は、ボディをリフトアップすると共に、大径ホイールを採用することでSUV風の外観となり、大いに注目を集めました。

しかし、その誕生過程は一筋縄ではいかなかったと言います。

SUVやミニバンに押されてセダン系の販売不振が顕著になる中、先代クラウン(15代目)では開発時に、日本専用車ながらも海外で通用する走りの実現に向け、独ニュルブルクリンクで足を鍛えるなど改革が図られましたが、販売状況は好転せず。

トヨタ クラウン「クロスオーバー」(現行仕様)
トヨタ クラウン「クロスオーバー」(現行仕様)

豊田章男社長は当時、次期クラウンの開発に際し、「マイナーチェンジを飛ばしてもよいのでクラウンの再生に本気で取り組むよう」と、開発メンバーに指示したそうです。

そして苦慮の末に生み出されたのが、それまでのセダンに代わる「クーペフォルム+リフトアップ」。

セダンでもSUVでもない、街乗りでの快適性を重視した「都市型クロスオーバー」の採用に踏み切りました。

●これまでのセダンから脱却した結果は?

トヨタ クラウン「クロスオーバー」(現行仕様)
トヨタ クラウン「クロスオーバー」(現行仕様)

ボディサイズが全長4,930×全幅1,840×全高1,540mmでホイールベースが2,850mmと、先代比でひと周り大きくなっており、全高が80mm以上高くなっているのが特徴。

意匠上のバランスから、車高に合せて21インチの大径ホイールを採用するなど、リフトアップにより見た目の迫力を増しつつも、クラウンらしい高級感を維持しており、悪路走破性も向上しています。

トヨタ クラウン「クロスオーバー」(現行仕様)
トヨタ クラウン「クロスオーバー」(現行仕様)

乗降性や運転時の見通しに優れ、全車4WD(E-Four)仕様による操安性の良さ、先代比でお値打ち感のある価格設定(435~640万円)等により、半導体不足で生産がままならない中、2023年1月に4,498台、2月に3,581台、3月に5,303台と、販売の方も順調に推移しているようです。

●“ローダウン”が人気のカスタマイズメニューに?

群馬トヨタ出展の「GTG CROWN type GR」
群馬トヨタ出展の「GTG CROWN type GR」

そうしたなか、年初に開催された東京オートサロン2023に、群馬トヨタがカスタマイズしたローダウン仕様のクラウン クロスオーバーを出展しました。

クラウン クロスオーバー(筆者によるローダウンイメージ)
クラウン クロスオーバー(筆者によるローダウンイメージ)

「GTG CROWN type GR」がそれで、車高を50mmローダウンしており、意外にもスポーティさが一層増しています。

クラウン クロスオーバー(筆者によるローダウンイメージ)
クラウン クロスオーバー(筆者によるローダウンイメージ)

前述のとおりクラウンの存続をかけて、リフトアップにより”クロスオーバー化”された訳ですが、車高を落としても違和感が無く、開発終盤でリフトアップのアイデアが導入された可能性すら感じさせます。

「クーペフォルム+リフトアップ」が新型の特徴ですが、このボディデザインの場合、一般的な車高で大径ホイールを組み合せるだけでも十二分にスポーティであり、今後“ローダウン”が同車の人気カスタマイズメニューになりうる可能性が高そうです。

Avanti Yasunori

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トヨタ クラウン クロスオーバー
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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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