■毎年進化する横浜ゴムの冬用タイヤ試験施設
横浜ゴムは2015年12月に、北海道旭川市に冬用タイヤテストコース「北海道タイヤテストセンター(Tire Test Center of Hokkaido=TTCH)」をオープンさせました。
それまでの国内での冬用タイヤテストコースである「T*MARY(ティーマリー)」(北海道上川郡鷹栖町)に比べると、TTCHの敷地面積は約4倍の広さ。旭川市内からはクルマで15分、旭川空港からは10分と交通の便のよさも、開発陣には好評とのことです。
●安定した試験結果を得るために屋内試験場の設備を充実
2018年にはTTCH内に全長119m、全幅24m、室内高(最高部)8.8m、延床面積は約2860平米の規模を誇る屋内氷盤試験場を開設しました。屋内とすることで、雪や雨、風といった外因を排除することができ、テストデータを安定したものとすることができます。
当初、屋内氷盤試験場は外気によって氷盤を作っていましたが、より安定性を高めるために、2020年には冷媒装置による凍結が行えるようになりました。
この冷媒装置の導入によって、氷の表面温度を-10度~0度までコントロールすることが可能(室温が5度の場合)となり、スタッドレスタイヤの開発で重要な0度付近の高温域から低温域まで、様々な氷上路面でのタイヤ試験を、安定した試験条件により行うことができるようになりました。
そして2023年には、国内最大級となる屋内氷盤旋回試験場を開設しました。
屋内氷盤旋回試験場は、屋内氷盤試験場のすぐ隣に建てられた施設で、建物寸法は全長56m×全幅56m、室内高(最高部)12.3m、氷盤面積1960平米で、旋回半径10~22mまでの試験が可能となっています。
横浜ゴムでは、冬用タイヤのテストコースはTTCHのほかに、スウェーデンに「YOKOHAMA TEST CENTER of SWEDEN(YTCS)」を設置。TTCHでは世界中で販売する全ての冬用タイヤの試験を実施。スウェーデンのYTCSでは欧州向け商品を中心に確認評価し、各国・地域に最適な商品開発を推進しているとのこと。
研究施設の充実は、製品の性能向上に直結します。今後、横浜ゴムの製品はよりよいものとなっていくことでしょう。
(文:諸星 陽一)