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■高級FRツーリングワゴンとして登場も短命に終わる
2002(平成14)年1月25日、トヨタの「マークIIブリッド」がデビューしました。「マークII」は、1980年代に“ハイソカーブーム”を巻き起こして一世を風靡したスポーティな高級セダンです。マークIIは9代目で幕を下ろしましたが、マークIIの名を継承した最後のモデルが、マークIIブリッドなのです。
●ハイソカーをけん引したマークIIの凋落
マークIIは、1980年代に“ハイソカーブーム”で一世を風靡したスポーティな高級セダンです。1980年にデビューした4代目がブームの火付け役となり、5代目(1984年~)と6代目(1988年~)マークIIは、月販台数1万2000台を超えるような爆発的な人気を博しました。
ところが、1990年代に入るとバブルの崩壊とともにセダン人気が凋落。バブル崩壊の後、ハイソカーのような高級セダン市場は縮小し、7代目(1992年~)から急激に右肩下がりに。
8代目(1996年~)と9代目(2000年~2004年)は、もはやクルマ自体の出来栄えとは関係なく、販売は大きく落ち込みました。そして、遂に9代目を最後に栄光のマークIIブランドは幕を下ろしたのです。
正確にはセダンが終焉を迎えたのであって、ツーリングワゴンのマークIIブリッドは、2002年から2007年まで発売されていきました。マークIIの最後を飾ったのは、マークIIブリッドということになります。
●マークIIブリッドの先代は、マークIIクオリス
マークIIには、2代目からワゴンが設定されていましたが、独立モデルとしてステーションワゴンが登場したのは、1997年に登場した8代目マークIIに追加された「マークIIクオリス」です。
ブリッドの先代にあたるクオリスは、マークIIを名乗るものの、ハードトップのマークIIとは別物で、FFプラットフォームのカムリグラシアの兄弟車の位置づけで登場。エンジンは、カムリの2.2L&2.5L直4と、ウィンダムの3.0L V6を搭載していました。
マークIIの顔を持ち、マークIIを名乗りながら、FFベースで他車のプラットフォームやエンジンを流用するといった変わった存在でした。もちろん、販売数は限られていましたが、旧マークIIのワゴンよりもスタイリッシュで、FRからFF化(後に4WDを追加)されたことで、居住性や運転のしやすさなどは好評を得ていました。
●優れた性能と居住性を合わせ持つ最後のマークII
クオリスの後を継いで、マークIIの名を継承した最後のモデルとなったのが、本家マークIIのFRセダンのプラットフォームをベースにしたマークIIブリッドなのです。
高級FRツーリングワゴンとして、高級セダンのマークIIとは全く違う精悍さとスポーティさをアピールして、縦型の独立4灯ヘッドライトと強い傾斜を持たせた太いCピラーが個性的でした。
パワートレインは、2.0L直4 DOHC&2.5L直6 DOHC、トップグレードには最高出力280PSの2.5L直6ターボエンジンの3機種と、電子制御4速&5速ATの組み合わせ、駆動方式はFRと4WDを設定。高い走行性能とワゴンならではの居住性と収納性が、高級FRワゴンのアピールポイントでした。
しかし、その魅力は市場では受け入れられず、2007年に生産を終了しました。
一時代を築いたマークIIブランドの最後に登場したマークIIブリッド。個性的なデザインは万人受けするものよりは強いもの。時代的に市場はすでにミニバンやSUV人気が盛り上がってもいた頃で、セダン同様、ステーションワゴン人気にも陰りが。そんな中、立派に主張していたワゴンではあったのですが…。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)