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■意外に多い駐停車や駐車を禁止する場所
交通渋滞や、最悪の場合は衝突事故などの原因にもなる違法な「路上駐車」。特に、道幅が狭く「駐停車禁止」などの場所にクルマを停めると、周囲のクルマや自転車、歩行者などにとって迷惑であるだけでなく、危険ですらあります。
とはいえ、「駐車禁止」などの標識があれば、そこは駐車できないと分かりますが、標識などがなくても駐車が違反となる場所もあり、知らないうちに警察官や駐車監視員に発見され「放置車両確認標章」という黄色いステッカーが貼り付けられ、警察署に出頭することになってしまうケースもあります。
そこで、ここでは路上駐車が違反となる主な場所やケースなどを紹介しましょう。
●そもそも路上駐車とは?
そもそも駐車とは「車両が継続的に停止している」状態のことをいいます。ここでいう「継続的に」とは、慣例で5分を超える時間を意味します。
たとえば、客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、クルマの故障などといった理由で一時的に停めていても、5分以上が経過していれば駐車となります。また、クルマが停車し、運転者が車両を離れて直ちに運転することができない状態にある場合も駐車です。
ちなみに、5分を超えない時間の場合は「停車」です。バスやタクシーの乗客が乗り降りしていたり、配送業者などが荷物の積み卸しをする場合などで、5分を超えなければ停車扱いとなります。
●駐車禁止や駐停車禁止の標識
路上駐車が禁止されている場所で分かりやすいのが、青地に赤い斜線が入った丸い標識です。赤いバッテンがあるものが「駐停車禁止」、赤の斜め線が入ったものが「駐車禁止」を差します。
また、標識の上の方に「8-20」といった数字が入ったものもありますが、それは指定時間以内(この場合は8時から20時)は駐停車または駐車禁止。ほかにも、曜日がはいったものは、表示されている曜日が禁止になります。
ちなみに、違反すると普通車の場合で駐停車禁止が違反点3点・反則金1万8000円、駐車禁止は違反点2点・反則金1万5000円となります(標識がない場所でも同様)。
●標識がなくても駐停車禁止の場所
前述の通り、禁止の標識があれば分かりやすいですが、ない場所でも違反となるところがあり、注意が必要です。
まず、標識がなくても駐車だけでなく停車もNGの駐停車禁止の場所は、以下の通りになります。
1. 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内(通常は路面電車の線路部分)、坂の頂上付近、勾配の急な坂またはトンネル
2. 交差点の側端または道路のまがり角から5m以内の部分
3. 横断歩道または自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に5m以内の部分
4. 安全地帯の左側の部分および当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に10m以内の部分
5. バス停から10m以内の部分
6. 踏切の前後の側端からそれぞれ前後に10m以内の部分
●標識がなくても駐車禁止の場所
また、標識がなくても駐車禁止になる場所もあり、それらは以下の通りです。
1. 駐車場や車庫などの自動車用の出入口から3m以内の部分
2. 道路工事が行われている工事区域の側端から5m以内の部分
3. 消防用機械器具の置場もしくは消防用防火水槽の側端、またはこれらの出入口から5m以内の部分
4. 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置または消防用防火水槽の吸水口もしくは吸管投入孔から5m以内の部分
5. 火災報知機から1m以内の部分
意外に多いですね。ほかにも、たとえば、道路(車道)の左側端に沿うなど、法規で定められた正しい方法で駐車した場合でも、クルマの右側の道路(車道)上に3.5m以上の余地がない場所も駐車は禁止です。
●歩道に停めるなども違反
駐(停)車が禁止されていない場所でも、きちんと決められた停め方をしないと違反になります。
それは、車両を駐車(停車)するときに、道路(車道)の左側端に沿って、かつ、他の交通の妨害とならない方法で駐車(停車)しない場合です。
これには、たとえば歩道の上に停めること。歩道がある道路では、歩道に沿って駐車する必要があります。
また、白の実線または破線が入った駐停車禁止路側帯や、日本の白い実線が入った歩行者用路側帯の中への駐車も違反です。これらは、それぞれの路側帯に沿って車道の左端に駐車する必要があります。
ほかにも、最近よく見かける道路の端に白で自転車のイラストや「自転車専用」と書かれた青いライン、いわゆる「普通自転車専用通行帯」も、そのライン内は駐車が禁止です。
ちなみに、そのライン内は走行も基本禁止。交差点での左折、駐車場やコンビニなどの店舗への出入り、緊急自働車に一時進路を譲るとき、道路の状況そのほかの事情でやむを得ない場合を除いて違反となります。
●路上駐車していい場所でも時間によっては違反
路上駐車をしていい場所でも、パーキングメーターが設置されている場所、いわゆる時間制限駐車区間では、指定された時間を超えると違反になります。
パーキングメーターがある場所には、よく「8-20」とか「60分」などの数字が書かれた標識もありますが、これは「8時から20時の時間帯にパーキングメーターが作動し、60分間の駐車ができる」という意味です。
指定時間帯でない時間や、指定時間帯内でも60分など指定された駐車時間を超えることはできません。また、パーキングメーターをすぐに作動させなかった場合も違反です。
さらに、駐車スペースを示す白の枠線の外やはみ出した駐車も違反で、枠外駐車は違反点2点、反則金1万5000円、枠外の駐停車禁止場所への駐車は違反点3点、反則金1万8000円になります。
時間に関しては、同じ場所に長時間の停車をすることも禁止されていて、日中で12時間以上、夜間(日没時から日出時まで)は8時間以上の駐車は違反となります。
ほかにも、当然ですが、道路を車庫代わりに使用することも禁止されています。
●違法な駐車は重大事故を招く
警察庁交通局が令和3年11月に発表した「駐車場対策の現状」によれば、
「令和2年(2020年)中の駐車車両への衝突による交通事故については、人身事故の発生件数が640件、うち死亡事故の発生件数が23件(死者24人)」
だったといいます。
また、
「駐車車両等に起因した交通事故については、人身事故の発生件数が942件、死亡事故の発生件数が14件(死者14人)」
だったそうです。
このように、違法な路上駐車は、痛ましい事故を引き起こす原因となるのです。また、事故までには至らなくても、救急車など緊急車両の通行を妨げたり、渋滞の要因となる可能性もあり、駐車時間にかかわらず様々な問題を引き起こす可能性があります。
悲惨な事故が起こらないよう、ぜひ違法な路上駐車はやらないような社会になって欲しいものです。
(文:平塚 直樹 *写真はすべてイメージです)