クルマ造りが変貌する!? 日産の「CMF」、VWの「MQB」とは?

近年、環境対応や安全対応などで車両開発に要する時間が増大しており、世界の自動車メーカーはそれに伴う開発コストアップ是正に向けて各社ともあの手この手で効率アップに取り組んでいます。

日産 「CMF」 概念図

そんな状況の中、日産自動車が2013年以降発売する新型車の車両開発に「CMF」と称する新世代の車両設計技術を導入すると発表しました。ボディ全体を「4つのモジュール」と「電子アーキテクチャー」に分けてそれらのモジュールを巧みに組み合わせることで、小型車から大型車、SUVに至るまで効率良く、且つ高度な要求性能レベルに応える設計が可能になるとしています。(4モジュール:エンジンコンパートメント、コックピット、フロントアンダーボディ、リヤアンダーボディ)

これにより設計の約8割を共通化、車両開発費27%削減、車格間を越えた共用化が可能となり、上級車種を中心に採用されていた新技術を配下の幅広いクラスへ同時適用できるようになるそうです。

 但し、車両開発における「共用化」は「品質安定」と「コストダウン」に繋がるものの、効果を出す為には社内一丸となった取組みが必要。個々の車両開発の中だけでは大きな成果が出せないことから、全社活動としてトップダウンで取り組む事にしたものと思われます。

一方の欧州でもVWが以前からプラットフォームの共通化を大胆に推進しており、2012年2月1日には「MQB」と称する次世代の共用プラットフォームを発表しました。同一プラットフォームを採用することで、理論上、全ての車種を同一のラインで生産することも可能としています。

次世代の「MQB」は「ポロ」、「ビートル」、「ゴルフ」、「シロッコ」、「ジェッタ」、「ティグアン」、「トゥーラン」、「シャラン」、「パサート」、「CC」への採用が予定されているようで、エンジンについてもガソリン、ディーゼルを問わず、様々な種類を同一のマウント方法で搭載できるように設定、生産性が大幅に向上し、大幅なコストダウンが可能になる模様。

最初に「MQB」を採用するモデルは、次期「ゴルフⅦ」と「アウディA3」の2車種とか。2012年3月のジュネーブショーで公開される模様。

ちなみに日産の「CMF」はコモン・モジュール・ファミリーの略。VWの「MQB」はドイツ語表記の「モジュラー・トランスバース・マトリックス」の頭文字を取ったものだそうです。

以上のように従来のモジュール設計技術を一歩進めて、更に大きな単位で「トッピング・メニュー」化する事で、車両設計を画期的に効率化しようというのが今回の新しい取組みの狙いと言えそうです。

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 (Avanti Yasunori

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<外部リンク>
http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2012/_STORY/120227-01-j.html?rss
http://www.autoblog.com/2012/02/03/what-we-know-about-the-2013-volkswagen-golf-next-gen-gti/

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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